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クレドを中心に醸成した「全員営業」「全員製造」の一体感

株式会社北四国グラビア印刷

全員正社員、終身雇用、労働集約型産業だからこそ人を大切に創業以来から大切にしている「人を大切にする経営」。印刷という労働集約型の人の技術や能力に頼る業態だからこそ、「人財」の大切さを創業時から経営者は感じていたのかもしれません。全員正社員、終身雇用の人事施策もその流れを汲むものです。こうした脈々と受け継がれてきたDNAをこの10年で、クレドをはじめとした明文化、制度化することで、より社内で徹底することができるようになりました。

経営管理部課長
木下 和昭
1977年生まれの38歳。大学卒業後、MRとして製薬会社に入社。2003年、面接時の温かい対応に感銘を受け営業職として同社に入社。2007年の東京営業所の開設にも携わる。2012年より経営管理部在籍。
課題
急激に注文が増えたために社員の疲労がピークに。社員に向けて経営理念の可視化が必要となった。
改善策
採用
●全員正社員雇用
●入社後のミスマッチを防ぐために、説明会ではしっかり企業理念、会社の「想い」を伝える。
●選考結果の通知も一斉送信はしない。選考通過者にはその評価ポイントや選考理由を伝える。
●地域に根付いた企業として、積極的な地元採用を行っている。

育成
●入社後3週間は、全部署を経験
●全社員研修、職種別研修など、「人財」育成に注力。一般社員から上がった声が研修テーマに反映されることも。
●中期経営計画書を作成。毎年各組織、プロジェクト、チームごとに目標や取り組みをまとめ、チームは月に2回、進捗や課題を話し合う
●能力主義を加味した人事評価システムを運用
●標準化された作業マニュアルを運用
●ISO22000認証取得
定着
 創業時から続く大家族主義
●終身雇用
●社是「人生在勤」やクレド(信条)の浸透を図ることで、組織、部門を超えた社員の一体感を促す
●積極的な5S活動を実施し、職場環境の整備につなげる
●環境整備推進委員会など様々な委員会活動を実施
●従業員満足度を計るアンケートを毎年1回実施
●社員の心身の健康のために食堂を開設
●社員の誕生日には社長から直筆の手紙が贈られる
●社員が大切な人に「ありがとう」を伝えるきっかけづくりとして、年に1回好きな日に会社から「人生在謹製ケーキ」が贈られる
●会社として地元のイベントやお祭りにも積極的に参加
成果
約10年間で売上は1.4倍に、離職率も激減
企業ストーリー

受注増加による多忙で、社員の不満も増加

 食品を中心とした製品パッケージの印刷を手掛ける株式会社北四国グラビア印刷。1970年創業当時から社内の信頼関係を深めるために昼食は皆でとるなど大家族主義的な経営を行っていた。
 2代目となる現社長が同社に入社すると、より品質の向上と安全な職場環境の整備を目指し新工場の設立を提案、1992年本社及び新工場移転を機に、IT化も進めた。また2001年に企画デザイン部門も整備、自社一貫製造体制へと移行した。さらに経営理念や経営計画、人事評価制度の確立にも着手。主要顧客の東京移転に伴い2007年東京営業所も開設。確実に業績は伸びていた。
 大きな転換期となったのは2011年の東日本大震災。東北の企業へ発注されていた仕事の大半を請け負うことに。それまでの順調な業績の影で現場の社員への負荷は増えていたが、これをきっかけに社員の疲労はピークに。毎年実施している従業員アンケートの結果は散々だった。お客様第一主義だけでは難しい。従業員満足とのバランスが大切なことに気付かされた。

全社員の向かうべき方向性を示す「クレド」を作成

 そこで社内に立ち上げられたのが従業員満足度向上委員会。社長から贈られるバースデーカードや、会社から社員の大切な人に感謝の気持ちを込めて贈られる「人生在謹製ケーキ」もこの委員会で発案された。  「特に大きかったのが、クレドの作成ですね」と委員会メンバーの一人である木下課長は当時を振り返る。2012年に作成されたこのクレドには、「お客様・お取引先様のために」「会社の成長のために」「社会との関わり」と同列に「従業員の幸せのために」と謳われている。
 さらにこのクレドのなかで特徴的なのは「全員営業」「全員製造」のキーワードだ。「製造業という業種のため営業部門と製造部門との間で意見がぶつかることも多々ありました。そこで製造部門はお客様の要望を汲み取る「営業」の視点が、営業部門は製造部が効率よくものづくりができるように配慮する「製造」という視点が大切であると強く謳ったのです」と木下課長。この「全員営業」「全員製造」の精神が、今では同社の特徴である自社一貫体制の礎となり、小ロット・短納期の実現に導いている。同社ではこのクレドの考え方が生み出す好循環を「グラビアーズ☆ハッピースパイラル」と名付け、向かうべき方向をいつでも確認できるよう全社員が常にクレドカードを携帯し、あらゆる場面での社員の拠り所となっている。

中期経営計画の作成を通じて経営への参加と一体感醸成へ

 同社では全員参加型の経営で社員のやる気とコミュニケーションの促進につなげている。その重要な役割を担っている中期経営計画だ。この計画書の策定では部門、プロジェクト、チームそれぞれがリーダーを中心に全員で話し合う。これにより、社員一人ひとりが自身がどう会社に貢献しているのかを確認できる。また、チーム会議を月に2回実施し、計画に対する課題、目標への進捗状況を確認。そこでまとめられたものは月1回の部門会議や経営計画会議で報告、共有され、課題解決の動きに直結する。また、全社的に積極的に推進している5S活動は、今では地域の清掃活動にまで広がっている。地元のお祭りやイベントへの参加も積極的に行い、職場や地域とのコミュニケーションの促進も図っている。

売上高はこの10年で約1.4倍、社員数も急拡大

 売上高はこの10年で約1.4倍の30.9億円(2015年12月期)。従業員数もこの10年で1.5倍に増加している。新たな取り組みとして、2015年2月には食品安全マネジメントシステムの国際規格ISO22000認証取得。フードサプライチェーンの一端を担っているという責任と誇りが社員には共有されている。

地域の祭りにも参加。「職場のコミュニケーション促進の良い潤滑油になっています」と品質保証の井手さん

「趣味の吹奏楽の演奏会には会社の皆が応援に駆け付けてくれました」と営業事務の梶本さん。

会話をしながら昼食をとれるようにと、食堂を開設。可能な限り社長もここで食事をとるようにしている。

会社はこう変わった

8年前から新卒離職ほぼゼロ。第1回おもてなし経営企業選に選ばれる 退職率は激減し、8年前から新卒の離職率はほぼ0%となった。全正社員採用、終身雇用制をはじめ人を大切にする様々な取り組みが評価され、経済産業省主催の「第1回おもてなし経営企業選」にも選出されている。最近では、コミュニケーションの促進と健康のために食堂を開設し、食事についての研修も実施した。「レクリエーション委員会」が社内行事を盛り上げ、社風の醸成にもつなげている。

今すぐできるはじめの一歩! 1.経営理念や向かうべき方向性を明文化しましょう。
2.5S活動を通じて職場環境の整備に努めましょう。
3.経営陣は昼食など、リラックスできる時間を通じて社員とのコミュニケーション促進に努めましょう。

企業データ

企業名:株式会社北四国グラビア印刷
住 所:香川県観音寺市粟井町755
創 業:1970年
設 立:1976年 
従業員数:100名(2015年12月現在)
http://www.kitashikoku-g.co.jp/
【事業内容】
各種グラビア印刷、軟包装資材製造販売、食品のほか各種製品パッケージなどの企画・制作・製版・印刷・ラミネート・製袋

※本記事内容、データにつきましては、取材時(2015年11月)の情報です。

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