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評価制度の確立やインセンティブで、社員の潜在能力を引き出す。

株式会社日本キャリア工業

公平性、透明性の高い評価制度の確立に注力2004年に入社後、特に注力したのが会社のルールづくりです。当時、高い技術があったものの組織体制は未整備。技術を継承する次世代の人材の育成も不十分でした。そこで、新卒採用を開始。また現場の社員とともに時間をかけて、各職場において必要なスキルを明確にした評価制度を確立しました。この評価制度をもとに半期に1回、上長とともに振り返りを実施。公平性の高い評価制度をもとに、人事やインセンティブを決定しています。

代表取締役
三谷卓
前職は銀行員。2004年に日本キャリア工業に入社し、主に財務や経理を担当。創業者で義父の仲野整前社長(現会長)からバトンを引き継ぎ、2013年に代表取締役に就任。
課題
次世代の幹部候補の育成が不十分。経営状態の可視化も出来ていなかった。
改善策
採用
・2010年から、少数ながら大卒の新卒採用を開始。
・新卒を採用することで、先輩社員たちのモチベーションも高まる。
・社長が説明会や面接に積極的に出席。
・会社のビジョンや強みについて、直接伝える。
育成
・3~4年をかけて、長期的な視点で育成を図る。
・評価制度を確立し、各職務で必要なスキルを明確化。
定着
・業績を達成すると賞与等でインセンティブを積極的に与える。
・フットサルのスポーツ等を行い、社内のコミュニケーションを図る。
成果
3年連続離職者ゼロ。業績拡大で東京・大阪に事務所開設
企業ストーリー

技術先行で、組織の整備が不十分

肉のスライサーや成型機などの食品加工機械を手掛ける日本キャリア工業。独創的なアイディアと確かな技術で業界内のポジションを確立し、近年、急成長を遂げている同社であるが、ここに至るまでには紆余曲折があった。
現社長で元銀行員の三谷氏が入社したのが2004年。行員時代から取引先だった同社の、外からは分からなかったものが見えてきたという。バブル崩壊後は、経営状態の悪化からリストラを断行。その影響は悪い方向に流れ、スムーズな人材育成を阻害していた。「保身のために、ノウハウやスキルを自分の中に抱え込んでしまう傾向が強かったですね」と当時を振り返る三谷社長。また、新卒採用よりも、大手企業を退職したベテラン技術者などの中途採用に注力していたため、次世代を担う幹部の育成や技術の継承が不十分であった。
企業としての組織体制の確立も不十分だった。「経営状態が数値化されていないため迅速な経営判断を妨げていました。人材の評価を含め、会社の現状を客観的に認識できる方法がありませんでした」。会社の将来を担う新たな人材獲得と抜本的な経営状態の改善へ、大改革が始まった。

新卒採用で中堅社員に刺激

採用面では、2010年から少人数ながら大卒の定期的な採用を開始。社長自身が会社説明会や面接に積極的に出席した。「経営者でないと説明できないことがある。自分自身で場数をこなして、人材を見る目を肥やしたいという思いもある」と狙いを語る。
 新卒という若い血を入れることはベテラン・中堅社員に刺激を与えた。「自分たちの子どものような世代が入ってきて、恥ずかしいマネができなくなる。良い緊張感が生まれた」と当初は年の離れた後輩に戸惑いがあった社員たちの間にも、徐々に技術を伝えることに喜びを感じる者が増え始めた。「技術者の育成には時間がかかる。3、4年はタダ働きでもしかたがないという覚悟です」と長い目で若手の成長を見守る。もちろん、信頼できる技術を持つベテラン・中堅社員がいるからこその判断だ。

評価制度を確立し、収益を最大限還元

課題であった組織の整備にも着手した。数年前には、現場の社員とともに各職場やキャリアに応じて必要なスキルを明確化。勤務態度などの項目を加えた人事評価制度を確立し、本人の評価と上長の評価をもとに面接を行うなど公平性と透明性に大切にした。さらに業績アップに貢献した社員には、最大限、待遇面で還元されるシステムに。明確なものさしを示すことで、社員のモチベーションアップを図った。

組織が充実し、高い技術が収益に結び付く

近年では「ものづくり日本大賞四国経済産業局長賞」や「文部科学大臣表彰・科学技術賞」など数々の賞を受賞。技術ばかりが前面に出ていた時期を乗り越え、管理職や営業の分野でも若い世代へのしっかりとした継承に成功。不安定だった組織体制にも確固たるものが生まれ、内外的に誇れる状況になった。公平性を大切にした評価制度と利益を最大限に還元するという会社の姿勢によって社員のモチベーションは高まり、過去3年間、離職率ゼロが続く。企業の基礎となる組織体制を確立することで、創業以来、培ってきた高い技術力が収益に直結するようになった。同社のキャッチフレーズは「値段は10倍、持ちは100倍」。決して妥協を許さない、技術者集団の挑戦はこれからも続く。

独創的なアイディアと確かな技術力は、食品加工業界内で知れ渡っている。

工場見学に訪れる顧客のため、工場内は常に整理整頓されている。

経営陣と現場の風通しが良く、コミュニケーションは密にとられている。

会社はこう変わった

業績好調で東京事務所、大阪事務所を開設過去3年間、離職率ゼロが続き、社員のモチベーションも向上。業績も順調に拡大し、販売後のアフターフォローの充実を狙い、ここ数年で東京事務所、大阪事務所を開設した。

今すぐできるはじめの一歩! 1.公平性、透明性の高い評価制度になっているか再検討しましょう。
2.目標達成時はインセンティブ等で還元する仕組みをつくりましょう。
3.社長は積極的に会社説明会や面接に出席しましょう。

企業データ

企業名:株式会社日本キャリア工業
住 所:愛媛県松山市東垣生町980番地5
設 立:1970年10月 
従業員数:65名(2013年11月現在)
【事業内容】
食品加工機械の開発・設計・製造・販売・メンテナンス

※本記事内容、データにつきましては、取材時(2014年1月)の情報です。

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