株式会社日本レーザー

育成 定着
能力主義とおもてなし経営の両立で22年連続黒字化、親会社からの独立を果たす。

商社である当社は、人材の力が業績に大きく影響します。優秀な人材を求め、どうモチベーションを高めるか、その結果が性別や国籍などに関係なく、多様な労務形態を認めるダイバーシティ経営や社員満足を求めた現在の経営につながっています。さらに、当社で能力を培った人材により長く働いていただこうと「生涯雇用」も掲げています。

企業ストーリー

きっかけ

主力銀行からの経営破綻処理の通告に、立て直しを命じられ社長就任

 1994年、近藤氏が社長に就任した当時、株式会社日本レーザーは日本電子株式会社100%子会社だった。近藤氏は債務超過に陥り、主力銀行からも破綻処理を勧められていた同社の再建を任せられた。
 「社長第一主義」。これは近藤氏が経営を行ううえで大切にしている言葉だ。社長が率先して動く、リスクをとる。近藤氏は会社の将来を憂い辞めていく社員たちの自社株を個人で買い取った。本来であれば債務超過の会社の株はほとんど価値がない。それを額面で買い取ることで、会社立て直しのための本気度を社員に示したのだ。それでも、社員の中ではいずれ親会社へ戻る社長のキャリアアップのために働かされている、という不信感が根強かった。そんな中、信頼していた常務が商権と優秀な部下を引き連れて独立するという事件が起こった。このままではいけないと感じた近藤社長は、自ら背水の陣を敷くために親会社の取締役を退任する決意をした。

改善策1

徹底した能力主義を活かす、生涯雇用の安心感

 この決断が日本レーザーを大きく変えた。社員のモチベーションが上がるだけでなく運も味方し、1995年円高の波に押され社長就任2年目には累積赤字を一掃できた。
 近藤氏が人材を活かすために大切にしていることが、徹底した能力主義だ。個人の売上や評価を全社員に公開し、国籍・性別・学齢を問わず公平に処遇。粗利の3%を成果報酬として社員に還元している。こうした能力主義はダイバーシティ経営にもつながっている。たとえば派遣で入社した女性事務員が能力を認められ経理課長に。現在ではグループ長の1/3が女性で、最近では中国人の正社員3人が今後も日本レーザーで働き続けたいと帰化した。採用も新卒一括採用を止め、通年採用で広く門戸を開いた。
 一方で、セーフティネットとして雇用を守り続けることにも尽力した。社員が育児や介護、病気などで満足に働けなくても短時間労働や在宅勤務に切り替え雇用は守る。就任当時の危機的な状況でもリストラを行わなかった。「雇用を守られる安心感があるからこそ、社員は一生懸命働くことができる。だから、能力主義も活きる」。近藤氏にはそんな信念がある。

改善策2

社員の雇用を守るために、親会社からの独立を決断

こうした経営努力もあって社員のモチベーションは高まり、その後も躍進を続けた日本レーザーだったが、あくまでも子会社であったために福利厚生など様々な面で親会社とは格差があった。また近藤氏には「私が社長を退き、本社から新しい社長が来たとき、社員の雇用は守られるのだろうか」そんな不安もあったという。そこで2007年、日本レーザーは親会社からの独立を果たす。全社一丸となった独立を目指した近藤社長はMEBO(ファンドを介入させない経営者と従業員が参加する会社買収)を行った。結果、社員たちの間に揺るぎない連帯感と自分たちで収益を上げることができるという責任感も育まれた。

成 果

22年連続黒字、円安の逆境の中でも好調な業績が続く

 近藤氏の社長就任一年目から黒字を続ける同社。2012年には独立の際の借入も返済した。商社である日本レーザーにとって、近年の円安は逆風となっているが、社内コストの見直しや新規事業開拓などの環境対応で22年連続黒字を達成。2014年には受注額が過去最高を更新。2015年には更に受注を40億円台へと伸ばす。これも常々、「環境が変化しても、社員が努力すれば利益を生む構造を構築するのが社長の仕事」と語り、どのような経営環境でも近藤氏が雇用を守り続けた結果、社員一人ひとりが大切にされているという実感が強く、高いモチベーションが維持されているからであろう。

様々な経営賞に輝いた証であるオーナメントの数々
全社員と海外パートナーによる交流会の様子
近藤氏の古希のお祝いに贈られた女性社員全員からのメッセージカード

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