株式会社スワニー

採用
社員間の関係性の質を改善し、情報の共有と問題解決能力を高める。

2009年に社長に就任したときから私は自分のことを「社長」ではなく「社員長」と呼んでいます。これは、社員の代表として社員本位の経営をしたいという想いから。社員を大切にする経営は海外の拠点でも発揮しています。2011年にカンボジアに新工場を設立したのですが、識字率67%と言われる現地の社員のために通称「寺子屋」と呼ぶ言葉を教える教室を設置。社員食堂も設け、出張の際は私も一緒に食事をしています。

企業ストーリー

きっかけ

人材は二の次、新卒入社後の長い海外勤務もあり離職率は高止まりしていた。

 手袋の生産地として知られる香川県東かがわ市を代表するメーカーである株式会社スワニー。時代を見据え、いち早くグローバル化の波に乗り、1980年にアメリカで販売会社を設立、1984年には中国で工場を構えた。現在、「SWANY」ブランドはアメリカにおいてトップブランドの地位を確立。手袋製造のノウハウをもとに現会長の三好氏が10年の歳月をかけて完成させた「Walkin’Bag」は杖のようにもたれて歩くことができ、お年寄りや障害者の方から絶大な支持を得ている。
 こうした積極的な事業展開の一方で人材面は二の次に置かれていた。例えば、同社ではグローバルで活躍できる人材を育成しようと、新卒で入社すると、すぐに海外に配置され、平均3〜4年勤務していた。「しかし、これが離職率の高さにつながっていました。職場に同世代の社員が少ない環境のためか協調性も今いち。個人プレーが目立っていました」と当時を振り返る板野社長。2009年に社長に就任。同時に掲げたのが「社員本位」の経営だ。

改善策1

社員本位の経営で、関係性の質の向上を目指す

 同社の社是である「自分のために 会社のために 社員のために」。まず板野社長は、この「自分のために」に「社員とその家族の利益と幸福を追求します」という解釈をつけ、社員満足を求める姿勢を全社に示した。
さらに、社員のあるべき姿としてクレド(信条)の設定を進めた。プロジェクトチームを結成し、パートを含めた全社員から「入社して一番成功したこと」「感謝したこと」などのテーマで1,600文字の作文を募集し、大切と思われるキーワードを抽出し、<b>「笑顔で挨拶」「感謝」「初心」など8つのクレドを約半年かけて完成させた</b>。
 クレド以外にも、5S活動をテーマに12の全社チームを運営するなど、板野社長はチーム活動を重視する。「ダニエル・キム氏の成功循環という理論に学びました。結果を出すためには組織の関係性の質を高めること。当社では釣りや音楽など11の同好会がありますが、これも関係性の質の向上を後押ししています」とその狙いを語る。

改善策2

グループワークを中心とした採用活動で徳と才を兼ね備えた学生を採用

 長年、数人ずつ新卒採用を続けてきた同社であるが、「現場で本当に必要とする人材が採用できていない」と感じていた板野社長は、採用活動にもメスを入れた。まずは人材要件を明確化。「チャレンジ、求心力、適応力、自己表現力、思いやり」というキーワードを抽出し、個人としての能力(才)だけでなく、協調性に富みチームをどう動かせるかという視点(徳)も大切にした。<b>「当社のものづくりはチームプレー。中国やカンボジアなどの工場においても現地の従業員に溶け込み、牽引するリーダーシップが大切になります」</b>と板野社長。 
 その狙いは採用フローにも現れ、1次選考ではグループごとにスワニーの魅力をプレゼン、2次選考においても1泊2日の合宿形式でグループごとに将来のスワニーのビジョンを演劇形式で全社員の前で発表。1次・2次とも学生自身が次の選考に進む学生を選ぶ。選考は、若手社員をメンターにつけた個人プレゼンなど、その後も5次選考まで続き、ミスマッチの解消につなげている。
 入社後は、定番だった長期の海外勤務は廃止。最初の1ヶ月の社内研修の後、中国において5ヶ月の研修、その後のものづくり研修など新人研修は1年間に及ぶ。さらに外国人教師による英語研修や、全社員を対象とした話し方研修、2ヶ月に1回実施するセールスマン研修、ビジネススクール「グロービス」の受講など、同社では社員教育に多くの時間とコストをかける。

成 果

チームワークと社員のモチベーションが向上。情報共有と問題解決のスピードが速まる

 社内改革に取り組み始めて約4年。離職率の改善など結果に現れるのは、まだまだこれからという板野社長だが、<b>社員間の関係性の質は向上。社内の情報共有もスムーズとなり、問題解決のスピードは速くなった</b>という。「昔から当社は人事と給与以外の情報は全てオープン。さらに近年、チームワークが向上し、社内の風通しと情報の流れが速くなりました。当社のような企画開発型のクリエイティブな仕事では、これは最も大切な要素ですね」。 
同社の目標は2018年にグローバルブランドメーカーとして業界No.1になること。高い頂の礎となるのが「社員本位」の経営。その目標に向かって“社員長”板野氏と社員たちの歩みは続く。

熟練の技術は、創業以来脈々と受け継がれている
お客様アンケートには、担当者が必ず目を通し、使う人の声に耳を傾ける商品づくりを行っている。
「社内の問題解決能力が早くなり、企画開発のスピードも上がった」と板野社長。

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