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女性のキャリア・技術を磨き、高付加価値商品を世の中へ

朝倉染布株式会社

時代に先んじた職場制度と風通しの良い社風が相乗効果を発揮 私が入社した当時から上司部下の関係がフレンドリーな会社でした。そんな社風だったからこそ、今社員たちが取り組んでいる様々なプロジェクトでもチーム内で協力し合い、問題が発生しても解決に向けて積極的に知識・情報を交換し合い、達成することができるのでしょう。ベテラン社員は若手社員に技術を教えることに抵抗がなく、教えることでまた自身の勉強にもなります。  また、当社の変革の契機の一つとなったのが現社長の入社です。総合商社で海外勤務などを経て2003年に入社しましたが、育児休業制度や新賃金・人事考課システムなど人材活用のための様々な制度を構築していきました。先代が培ったフレンドリーな社風と新たな制度が上手く相乗効果を発揮し、当社の躍進の源泉になっていると思います。

総務部部長代理
大塚 博美
1980年入社。入社当初から一貫して総務畑を歩み、同社における女性初の管理職に。女性活躍企業のシンボル的存在として、セミナー等の講師やプレゼンターも務める。
課題
染色加工の検査部門において、キャリアのある女性の力が必要
改善策
採用
●近隣の高卒者を中心に毎年、数名の新卒者を継続採用
●インターンシップを実施。毎年、群馬大学生や高校生が5~6名程度参加、今後も採用につながるように積極的に活用予定
●面接重視、やる気を大切に。根気よく休まず頑張ってくれる人材を採用
育成
●様々な取り組みをプロジェクト化し、リーダーを決めたチーム制で社員が自主的に取り組む(コストダウン、退職金制度改定、自社商品開発など)
●社員からの提案制度を30年間実施。改善点を全社員1名3件は提出、優秀なものや成果のあったものは年に4回表彰
●中期経営計画に基づき年度計画を半期ごとに設定。さらに、部署ごとに毎月の業績目標を管理するとともに、個人目標を設定する
●人事制度を改革し、年3回の三者面談で、コミュニケーションを図り従業員の不安や悩みを解消するとともに透明性のある制度を確立
●部署内での計画的な人事育成を実施
●資格・免許取得を積極的にサポート
●積極的な人事異動や部署内のジョブローテーションで多能工化を推進し、育児休暇等の欠員に対応
●年1回社員全員で他社を見学
定着
●定年後の再雇用を実施
●退職金制度を改革(企業型401kを採用)し、会社が運用状況をフォロー
●2005年に他社に先駆けて育児介護休業規定を改定し、育児休業は3歳まで取得可能で、短時間勤務は小学校就学開始期まで可能に
●時間単位で取得できる有給休暇を導入。授業参観など育児で必要な時間に充てることができる
●年間休日118日
成果
女性従業員の定着率は10年前と比較して約2.5倍に
企業ストーリー

女性による細やかなチェックが必要な検査工程

 奈良時代から絹織物の産地として知られた群馬県桐生市で1892年創業した朝倉染布株式会社。125年という歴史を誇り、新たな染色技術に挑戦し続け、発展してきた。現在では、吸水速乾加工や超撥水加工技術に定評があり、水着やスポーツウェアなどの加工を通じてトップアスリートの挑戦を支援している。
 染色加工を担う同社にとって重要な業務フローの一つが「検査」だ。これは染色工程の最後に商品に汚れやキズがないか、長さや密度は基準をクリアしているかを検査するもので、検査基準は得意先ごとに変わる。目視による細かなチェックが必要なこの業務は女性に向いた職場で、一人前になるには5年以上かかるという。しかし、職場改革が始まる今から約20年前は同社の女性の平均勤続年数は7.1年と低く、結婚・出産を機に退職する社員がほとんどで、恒常的な人的損失を抱えていた。

女性の活躍を推進することで、多能工化も促進

 そこで他社に先駆けて、2004年に男性の育児休業を促進する休暇制度を新設。また、参観日など学校行事への参加もしやすいように有給休暇を時間単位で取得できるようにした。さらに、翌2005年には出産による育児休暇は3歳まで、小学校就学前まで短時間勤務を可能とした。
 女性活躍を目的としたこうした取り組みには、思わぬ副産物もあった。「基本的に休暇中の欠員に人員補充はしません。職場の業務を見直し、どうすれば少人数でも対応できるかをみんなで考える。また、事務方が製造現場をサポートするなど、社員の多能化が進みました」と、社員のスキルアップにつながったと言う。

プロジェクトチームを通じた、社員発信による幾つもの取り組み

 同社の特徴的な取り組みの一つに「プロジェクトチーム」がある。
 例えば、2003年5月には労使でプロジェクトチームを立ち上げどうすればより良い退職金制度になるか協議。企業型401Kを導入するとともに、定期的に運用状況を会社がフォローしている。
 人事考課のプロジェクトチームでは、透明性と公平性を確保した人事考課システムを構築。年3回三者面談を行うことでコミュニケーションを図り、従業員の不安や悩みを解消している。
 同社の技術力の象徴でもあるのがバケツ1杯分の水を包むことができる撥水風呂敷『ながれ』だ。もともと定評のある撥水加工に超がつく仕上がりで、50回の洗濯後も効果が持続し災害時にも活躍する商品で、メディアでも盛んに取り上げられ、2011年度グッドデザイン中小企業庁長官賞を受賞した。
 自社販売製品開発プロジェクトはこうした同社の誇る撥水技術を生かし、アームカバーやレインコートなど新商品を次々とリリースしている。今は売上の15%程度を占める自主販売商品だが、こうした社員からの提案制度もあり、その割合は年々拡大している。

女性のキャリアアップに成功、平均勤続年数が男性を上回る

 「今までで一番効果があったのは『コストダウンプロジェクト』です」と大塚部長代理。5年継続したこのプロジェクトは、自分たちでコストダウンした額を賞与として還元される仕組みで、コストダウンを図るターゲットから数値目標、手法などを社員がチームに分かれ設定し、1年間活動する。その成果はコストダウンにとどまらず、各社員の業務への知識向上や情報の共有、相互理解もすすんだ。「普段現場で生産に携わっている人間が、はじめてパワーポイントを使用したり、プレゼンをするなど学習効果がありました」と大塚部長代理は振り返る。
 同社では2003年以降、出産をした女性全てが育児休暇を取得。今では、女性の育児休暇取得が当たり前となり、女性の平均勤続年数は2016年で18.6年と大幅増加。男性のそれを上回っている。また、検査部署に所属する社員の9割が女性、さらに0人だった女性のリーダー職が4割と、女性が活躍する企業へと変貌をとげた。

キャリアを積んだ女性による細やかなチェックが必要な検査工程

メディアにも盛んに取り上げられている撥水風呂敷ながれ

撥水風呂敷ながれで2011年度グッドデザイン中小企業庁長官賞を受賞

会社はこう変わった

2015年にキャリア支援企業表彰受賞、挑戦は続く今では育児休業は取るのが当たり前という雰囲気が醸成され、全社員が協力的だ。時間単位の有給休暇制度は、例えば「子供が熱を出した」「いいから、行っておいでよ」と声掛けがあるなど社内の雰囲気向上にも効果がある。こうした取り組みなどが評価され、2015年には厚生労働省のキャリア支援表彰を受賞した。 しかし、同社の取り組みはここで終わりではない。今後は、染色や仕上げなど検査部門以外の製造現場にも積極的に女性を登用していきたいと考えている。交代勤務であることや体力差から製造現場は男性社員に頼りがちだが、今年度から新入社員の女性1名が3交代制の部署に配属されている。一方で、結婚や出産などのライフイベントの影響を女性社員は受けやすいため、毎年面談を実施し配属を決めている。

今すぐできるはじめの一歩! 1.社員の面談を実施し、ライフイベント等を考慮した配属をしましょう。
2.子供が小さな社員や介護中の社員が働きやすいように時間単位の有給休暇を検討しましょう。
3.社員の主体性を育み、ボトムアップ型の社風を醸成するために、委員会活動やプロジェクトチームを検討しましょう。

企業データ

企業名:朝倉染布株式会社
住 所:群馬県桐生市浜松町1丁目13番24号
創 業:1892年
従業員数:98名(2017年1月現在)
http://www.asakura-senpu.co.jp
【事業内容】
様々な生地の染色整理加工事業。吸水速乾加工や強力撥水加工の独自技術を活かした水着やスポーツウェアの加工が主。また、インクジェットプリントによる美しい発色や短納期・小ロットにも対応。撥水風呂敷ながれなどの自主販売商品も手掛ける。

※本記事内容、データにつきましては、取材時(2017年2月)の情報です。

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