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「学習」をキーワードに採用・育成を実践。企業成長の原動力に

株式会社平野(平野薬局グループ)

地域のかかりつけ薬局として大切なこと この業界を目指す学生たちの間では「平野は厳しいが、他ではできない勉強ができる」という評価をいただいています。学習型企業を目指す当社は、勉強したい人たちに対して等しく機会を与えています。薬局という職場は地域の皆様の健康を支える重要なポジション。常に最新の情報と安全・安心なサービスを提供できる人材を育てることが使命です。人材育成を重視し、地域のみなさまの「かかりつけ薬局」となることを念頭に、社員一同日夜研鑽しています。

代表取締役
平野啓三
 現在69歳。雑貨店を営んでいた先代平野祥三氏が薬種商試験に合格し開設した平野屋薬局。父の志を継いで、自らも大学で薬学を学び薬剤師として家業を手伝う。1980年平野調剤専門薬局を創業。現在は株式会社平野として市内に7店舗を運営。
課題
スキルと経験が求められる調剤業務、一方で薬剤師の定着率の低さに悩む
改善策
採用
●求める人物像を明確に。自ら学ぶ意欲がある人物を採用
●薬学部の学生の実務実習を進んで受け入れる。実習で人材を見極め、採用に活かす
●採用フローのなかに薬局店舗の事前見学を組み入れる
育成
●経営指針発表会(9月)、経営指針チェックの会(4月)、総括会議(7月)で、全社員が経営指針について考える
●学習の成果を試す社内試験を年2回実施
●医療事務職で入社しても登録販売者の資格試験をサポート
●充実した社内研修会(新人社員向け、薬剤師向け、事務職向け、全社員向け)
●社外の研修会にも積極的に参加
●社員は7部門の委員会のいずれかに所属
定着
●忘年会、新入社員歓迎会には社員の家族も参加
●賞与は年3回(夏季・冬季・決算期)
●読書推進運動を実施し、誕生日には図書券をプレゼント
●年1回地域住民も参加する「平野健康まつり」を開催し、健康測定や栄養相談、禁煙相談、健康レシピの講習を実施
●研修室を開放してヨガなどの簡単な運動や料理教室を展開する「健康教室」を年4回実施
成果
ここ数年での退職者はゼロ。過去36年で赤字決算は2回のみ
企業ストーリー

薬剤師の定着を図るためにESを重視

 1974年、日本医師会が諸外国ではあたりまえだった医薬分業を勧めたことから、医師の処方箋をもとに薬を調剤し販売する調剤薬局が全国に誕生していった。一方で、平野屋薬局は日用品やビタミン剤などを扱う一般薬局だった。薬害問題も多かった当時、平野社長は医師から独立した立場で薬剤師が処方を監査し、調剤して服薬指導まで行う調剤薬局がこれからは必要だと考え、1980年に平野調剤専門薬局を県内では2軒目の調剤薬局として再スタートさせた。
 「モノわかりのいい経営者だと自負してはいたのですが…」と当時を振り返る平野社長。調剤薬局では経験豊かな薬剤師の存在が不可欠。だが女性の割合が多い薬剤師は、採用しても結婚・出産を機に辞めていく。「経営者としてステップアップしよう」と平野社長は愛媛中小企業家同友会に入会。そこで学んだESを重視した経営に転換。1990年頃、出産・育児休業の整備や週40時間労働を他社に先駆けて取り組んだ。

人材の採用・育成を通じて「学習型企業」の社風を醸成

 平野社長は社員の定着のためにビジョンの共有にも努めた。その礎となっているのが1991年に平野社長が成文化した経営指針だ。今では、毎年9月に全社員が話し合い、経営戦略・計画、社員全員の夢や目標などを1冊にまとめた「経営指針書」をつくる。翌年4月には「チェックの会」が設けられ、全社員で計画通りに進んでいるかを振り返り、7月の総括会議で達成できたことや強化点、改善点を共有し、次の経営指針書へと反映させる。このようにPDCAサイクルを回すことにより、社員の自主性を養い会社へのロイヤリティを高めている。
 また、研修・育成制度の整備にも取り組んだ。新人社員や薬剤師、事務職などそれぞれの職種や経験に応じた社内外の研修を用意するとともに、新薬が発売された際はメーカーのスタッフを招き勉強会を実施。また、医療事務で入社した人材にも登録販売者資格試験の受験をサポートする。さらに、2010年からは薬学部の実務実習の受け入れを始めた。狙いは2.5ヵ月間の実習のなかで能動的に学習を取り組める人材かどうかを見極めるためだ。実習に参加した学生はほとんどが就職活動時にエントリーする。同社ではそのなかから選考し優秀な人材を獲得し、「学習意欲の高い」人材を入社後、一貫して教育。こうして「学習型企業」の社風が醸成された。

CSR活動が結果的に地域でのポジショニングに貢献

 株式会社平野では、企業活動の一環として各種委員会を立ち上げ、全社員がいずれかの委員会に所属している。現在は共育委員会、保険調剤部門、ヘルスケア部門、在宅業務部門、環境委員会、IT委員会、ビジョン委員会の7つが存在。職場が縦軸、委員会が横軸となり学習の幅が広がる仕組みだ。
 平野社長は「企業は人間性、科学性、社会性の3つが大切な柱です」と語る。社員を大切にする、利益を出す、そして地域に貢献する、これらをバランスよく続けてこそいい企業だという。委員会での学習は個人のスキルアップのみならず、地域活動にも重きを置いている。例えばヘルスケア部門では、年1回、地域住民参加型の「平野健康まつり」や研修室を開放して行う健康教室や料理教室などを実施。「長年、今治を拠点に事業活動をしていくなかで、地域との関わりは自然と育まれました」と語る平野社長であるが、こうした取り組みは「地域のかかりつけ薬局」という同社のポジションの確立に一役買っている。

人材育成が差別化にもつながり、黒字経営が続く

 「お陰様でここ数年辞めた薬剤師はいません」と平野社長。以前は結婚・出産を機に退職する社員が多かったが、今は育児休暇を取得し復帰するケースが多くを占める。整備された福利厚生や夏季・冬季・決算期と年3回支給される賞与なども要因ではあろうが、やはり「学習型企業」という社風が社員満足度を高めている。
 今では学びたい人が入社し、お互いに成長しそれが企業成長へとつながる。そんな企業だから、また意識の高い社員が入社するという良い循環が育まれた。
 また「学習型企業」という社風に基づく、患者様へのきめ細やかなアドバイスやサービスは競合店舗との差別化につながり、黒字経営が続いているという。医療や薬事法は変化・進化の激しい世界。同社のような薬局であれば、地域の人たちも安心して自分の健康を相談できることだろう。

他社に先駆け、ESを重視した経営に転換

「経営指針書」の内容は、全社員が話し合い、経営戦略・計画、社員全員の夢や目標などを1冊にまとめている

地域活動に重きを置き、地域に根ざした薬局をめざしている

会社はこう変わった

一人ひとりのライフプランを支え合う 「学習型企業」としての取り組みがほぼ定着してきた一方で、そこで歩みを止めるのではなく更なるビジョンを掲げ邁進する同社。その陰には社員満足を第一に考えた平野社長の優しさも垣間見える。 毎年の忘年会や新入社員歓迎会、研修後の食事会には社員の家族もそろって参加。社員の子供はみんなの子供と、互いにフォローしながら20年、30年後の未来を共有し助け合う。  それを象徴する心温まるエピソードを平野社長は紹介してくれた。30代のシングルマザーが2人の子供を抱え入社、子供は下校すると職場へやってくる。そこで別の薬剤師が勉強を教え、職場全員で子供の面倒を見たおかげで、その子は国立大学を卒業し、今春私立の大学院に入学し、臨床心理士を目指している。

今すぐできるはじめの一歩! 1.自社のビジネスモデルと人材要件が一致しているか検証しましょう
2.職場を横断する委員会活動の設立を検討してみましょう
3.社員の家族との交流をしてみましょう

企業データ

企業名:株式会社平野(平野薬局グループ)
住 所:今治市北宝来町2丁目2番地22
創 業:開業  1950年
設 立:1982年 
http://www.hirano-pharmacy.co.jp/
【事業内容】
保険調剤薬局。今治市内に7つの調剤薬局を持ち、60数施設の病院・診療所処方箋受付を行い、延べ11万人の患者を受け持つ

※本記事内容、データにつきましては、取材時(2017年2月)の情報です。

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