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若手人材を積極的に登用して、100人の社長を創る。

三福グループ

『根源にあるのは幸福の追求とチームプレー』「100人の社長と100の会社を創る」と話すと、かなり前のめりの組織のように受け止める方も多いですが、決してそうではありません。チームプレーを重視するために業界で一般的なインセンティブ制から固定給制へ。グループ内の交流を深めるために運動会や海岸の清掃活動などのイベントを多数実施し、年に一度は取引企業の皆さんに集まっていただき感謝慰労会を開催しています。「我々のすべての活動は、人間の幸福を目的とする」という基本理念を徹底し、トップを目指す人も、そうでない人も受け止める寛容な職場は、高い定着率にもつながっています。

株式会社三福ホールディングス 代表取締役社長
中矢孝則氏
1971年生まれの43歳。大学を中退後、様々な仕事を経験。その一つの職場が(株)三福綜合不動産。1997年に家業である、なかや手芸(株)の代表取締役就任。1998年にグループの中核を担う(株)三福綜合不動産の事業を継承。2009年にグループの人事・総務・経理の機能を集約した(株)三福ホールディングスを設立し、代表取締役就任。
課題
社会の多様化、人口減少社会のなかで、事業の多角化を目指す。
改善策
採用
・11年前から新卒採用を始め、毎年数名ずつ採用。
・会社説明会はイベント形式で外部コンサルタントにもアドバイスを求める。会場の香りや動画にもこだわり運営。
・2012年の社長面接は「マラソン」。→入社動機の強い学生を選抜。
・内定を出した後に学生1人に2人のメンターをつけフォロー。
・入社式には学生のご両親からメッセージをいただき、放映。
育成
・カンパニー制を導入し、100社の会社設立を目指す。
・企業内起業の提案制度で認められれば、カンパニー社長へ。店長への昇格も自己申告制。
・若手を積極的に登用、入社5年以内で社長になったケースも。
・結果を残さなければ社長や店長の降格もあり、ただし敗者復活のチャンスあり。
・社長を目指す社員を集めて「社長塾」を実施。
・オリジナルの社員研修システムを確立(理念マスター、仕事スキルマスター、店長準備、店長売上アップ、社長準備、経営者合宿、宅建試験強化合宿…等)。
・理念マスター研修は必須、それ以外は自主性を重んじ自己申告制で研修を受講。
定着
・不動産部門の給与体系をインセンティブ制から固定給制に。
・グループ内の交流を深めるためにイベントを多数実施(入社式、決起大会、家族会、運動会、業者様感謝慰労会、忘年会等)。
・グループ内で委員会活動を実施(ハラスメント、交通安全、情報セキュリティ、健康促進、宅建資格取得等)、予算の使い方は報告義務なし。
・社内の交流を促進することで、スタッフ同士互いに支え合う社風を確立。
・社会貢献として海岸の清掃活動を実施。
・成果や意欲に対する評価制度を確立。年齢に関係なく管理職や社長に抜擢。
成果
グループ内で10人の社長が誕生、人材の育成・定着にもつながった。
企業ストーリー

劇的に変化する外部環境へのリスク軽減と人材活用を目指して。

「目標は100人の社長と100の会社を創ること」と未来を見据える中矢社長。途方もない目標のように聞こえるが、そこには緻密な戦略がある。「社会が多様化し、地域は急速に高齢化と人口減少が進みます。劇的にすすむ社会構造の変化のなかで企業も柔軟に変わり続けなければなりません」。同グループの中核をなす三福綜合不動産を中心に事業を多角化することで、地域のお客様の様々な暮らしのシーンで「三福のサービス」を提供できる存在になりたいと考える。さらにサービスを一つに絞らないことで、環境の変化に対してもリスクを軽減できる。「事業を多角化しビジネスモデルが異なるようになれば、必要となる人材や育成方法、店舗形態も異なります。画一的な経営を行うよりは、思い切って独立採算にした方が効率的です」とカンパニー制の狙いを語る。
一方で「社長という権限とプレッシャーを与えることで、その人材の潜在能力を引き出し、成長にもつながる」と中矢社長。人材活用の面からも社長の育成を進める。

社長育成を後押しする研修制度と敗者復活のカルチャー。

 しかし、一朝一夕に社長という重責を任せられる人材は育たない。それを後押ししている仕組みの一つが同社の研修制度だ。基本理念と社員のあるべき姿を伝える理念マスター研修のほかにも、仕事スキル・店長準備・売上アップ・社長準備など階層別に研修を実施。理念マスター研修以外は全て自己申告制で社員の自主性を尊重する。この「自主性」は同社の人材戦略の根幹を成すキーワード。実績を残し店長や社長に昇格する際も全て立候補制で、経営計画をプレゼンする。
 「社長を任せるということは、私自身も我慢が必要です。自分だったら上手くやるのにと思っても口出しをしない。失敗を積み重ねて人は成長しますから」と中矢社長。一方で期待に応えることができなければ社長や店長が降格することも。「ただ敗者復活は必ず用意しています。それも当社のカルチャーになっていますね」と語る。

説明会会場の香りにマラソン選考…、採用活動にもこだわる。

「若さは武器、知識と経験をスポンジのように吸収しますから。私自身も20代で社長という大役を任せられたことが今につながっています」と言う中矢社長は年齢やキャリアに関係なく人材を登用。入社5年以内に社長に就任した例もある。
若手を積極的に登用するためには「入口も大切」と考え、約10年前から新卒採用に力を入れてきた。例えば会社説明会では外部のコンサルタントに協力を仰ぎ、会場の香りまでこだわる徹底ぶり。昨年は、最終の社長面接を「マラソン」にした。「半分が辞退しましたけどね(笑)、でもそれが狙いです。新卒者は事前に採用する人数を決めていません。本当に必要な人、本当に入社したい人を採用します」と語る。内定を出した後は、学生1人に若手社員2人がメンターに付き相談にのる。その結果、内定辞退はほとんどないと言う。つい最近、こうして入社した新卒入社組のなかで、30歳という若さで初めて社長が誕生した。今後は20代の社長もどんどん排出したいという。

現在、10人の社長が存在。将来は経営者から資本家へ。

 こうした取り組みの結果、三福グループには現在、10人の社長が存在する。「社長と一口に言っても当社では様々なポジションがあります。まずはカンパニー制での社長。そこで実績を残せば分社化して財務処理や外部からの資金調達を行う。さらには後継者をつくり、経営者から資本家へ」と社長のキャリアプランも明確に提示する。
 取材が終了し別れ際、「これも新しいビジネスの種なんです」と中矢社長は笑いながら玄関口にある箱を指した。詳細は発表する段階にないという。人材の潜在能力を引き出しながら常に未来を見据える中矢社長を中心に、三福グループの躍進は続く。

経営理念に基づく行動指針を設定。社員への浸透を徹底

不動産店舗に保育士常駐のキッズルームを開設。利用者からは好評の声

半期に一度の事業計画発表会と慰労会では、「合唱コンクール」を行うことも

会社はこう変わった

事業の多角化に成功し、15年で売上総利益は10倍を超える伸び。 当初の狙いだった事業の多角化はすすみ、不動産業を中心に自動販売機やコインランドリーの運営、家電レンタル、自転車のリサイクル事業など様々な事業を手掛ける。企業のブランド力と認知度をさらに高めようと2013年には「ミス・ユニバース・ジャパン愛媛大会」の開催にも貢献した。こうした取り組みは業績にもあらわれ、2000年当時と比較し、社員数は2倍に、売上総利益は10倍を超える伸びを見せている。

今すぐできるはじめの一歩! 1.経営理念を伝える動画を放映するなど、会社説明会の工夫で、入社への動機づけを高めましょう。
2.内定辞退予防のためには、内定後の学生の不安を理解し、疑問を解消するために、若手社員を相談役につけるなどの工夫をしましょう。
3.自社の研修すべき課題を見つけることを先延ばしにせず、今すぐ取りかかりましょう。

企業データ

企業名:三福グループ
住 所:愛媛県松山市湊町4丁目3-10
創 業:1953年3月
設 立:1953年3月  資本金:1億8,000万円(グループ合計)
従業員数:120名(グループ計、2013年12月現在)
http://www.3puku.co.jp/
売上高:約22億5,700万円(平成24年12月期グループ総売上)
【事業内容】
不動産賃貸仲介事業
売買仲介事業
テナント斡旋事業、社宅斡旋事業、レンタル家電事業、マンション・アパート管理事業、土地活用・リフォームなどのコンサルティング事業、自動販売機・コインパーキングなどの運営事業、手芸販売小売店等
【グループ会社】
(株)三福ホールディングス、(株)三福綜合不動産、(株)三福管理センター、(株)賃貸不動産研究所、(株)エヌケイワイ、(株)クラフトマックス、なかや手芸(株)、(株)エイエスサンプク

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