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ヒトカラえひめ TOP成功への道 | 良い会社を作るための採用と育成

成功への道

良い会社を作るための採用と育成
~地域や企業に望まれる支援サービスを実現するために~

松山大学経営学部教授 東渕則之

教授図

成長ドライバ理論と経営改善の概要

 「経営するとは何をすることなのか?」ざっくりと回答するだけでもなかなか難しいように思われる。これを明確に描くものが成長ドライバ理論である。「経営」とは据え所がないため、経営の改善と言っても、どこからどのように手をつけてよいかわかりにくい場合も、この枠組みを使うことによって、経営の全体像を正しく認識でき、改善への着手が容易になる。

採用・育成に関わる要点抜粋

 「経営理念・ビジョン」は、企業成長を目指すには不可欠な概念である。「経営を通じて何を目指すのか」「社員の将来をどのようにしたいのか」「自社が発展することによって、社会にどのように貢献しようとするのか」等、「企業が目指す経営理念・ビジョン」が必要である。なお、「経営理念・ビジョン」には、2つの要素があることが望ましい。「社会貢献」と「社員の自己実現への貢献」である。
 社員が活き活きと働き、成長できる行動環境とは、どのようなものなのか。経営学者のゴジャールとバートレットは、変革を遂げて優秀な業績をあげている世界の企業20社を詳細に調査した結果、個人と組織の関係が、従来の「組織の中の個」から「個を活かす組織」へと変化していることを発見した。そして、個を活かす組織の特徴を「ストレッチ・サポート・規律(自律)・信頼」のキーワードで表現した。
 
 経営改善や成長を目指す際、もっとも根源的に大切なのは、社員を成長させることである。それは研修や教育制度で解決できるものではない。あらゆる機会を通じて学習し続け、失敗もしながら学んでいくことが大切である。そのためには、チャレンジできる環境が不可欠である。しかも、失敗が許容されることが大切だ。

成長ドライバ理論の使い方

 企業経営に当たる際には「経営の全体像」を常にチェックすることである。自社に5つのメイン・ドライバ、5つのサブ・ドライバがあるか、また、その実態が「あるべき姿」と一致しているか自己診断したい。

 例えば、「欠けているドライバはないだろうか?」、「ドライバがあろうと、その実態が『あるべき姿』と食い違ってはいないだろうか?」、「ドライバ間の整合性がとれていないところはないだろうか?」とチェックする。もし欠けたドライバがあったり、あるべき姿とのギャップがあったりすれば、各ドライバの実態を、整合性をとりながら「あるべき姿」に近づけるように是正する。このようマネジメントすることによって、利益体質の優良企業として中長期的な成長が可能となる。

 成長ドライバの改善に当たっては、順序が大切である。まず、行動環境を改善することから始める。とりわけ、社長と社員の間、社員と社員の間に「信頼感」を培うことが必要だ。
頑張っていれば解雇されないとか、他人から誹謗中傷されない等、安心感を社員が持てるような社内環境にすることが肝要である。社員はこれが満たされてはじめて、前向きな努力ができる。不安な状態やギスギスした状態では、頑張って会社の発展に貢献しようという気にはなりにくい。

 このように行動環境が改善された後、「経営理念・ビジョン」の革新、「ビジネスモデル」の抜本的な改善を行い、その後、人材育成の「システム化・型決め」そして「業務のシステム化・型決め」の順で行う。こうすれば、比較的スムーズに経営改善を進めることができる。

 なお、人材育成の業務に優先させる理由は、人が育たなければ、よりよい業務への見直しやシステム化・型決めができないからだ。これらの後、各成長ドライバを機能向上させ、上昇スパイラルに持ち込む。上昇スパイラルが回るようになれば、経営改善、再生は完了したことになる。それば同時に、底固い成長段階に入ったことを意味するだろう。

出典:「平成21年度東・南予地域における就職支援ニーズ調査(ジョブカフェ愛workが実施)」より
※一部加筆・修正

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