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新卒採用と長期的な育成で、継続的な会社の成長を促す。

フジワラ化学株式会社

横型の組織で、社員の自主性や個人の価値観を重視。当社の合言葉は「とりあえずやってみよう」。横型の組織で社員の自主性を重んじる放任主義が根付き、事後承諾のケースも少なくありません。こうした社風を育んでいる要因の一つが経営者の人柄。朝礼前や夕方には、社長が社員にあいさつ。1人ひとりに声を掛けています。社長があまりにも腰が低く、中途入社の社員が3ヶ月間、社長と気づかなかったというケースもあるほどです(笑)。

常務取締役
越智哲郎
1971年入社。当時の社員数は70名程度。入社当時から総務畑を歩み、現在は健康食品分野も担当。社長とともに自らも始業前の掃除と、出社する社員への声掛けを欠かさない。
課題
地域では珍しく、半世紀前の創業時から継続的に新卒を採用。
改善策
採用
・採用ターゲット(人物像)は「前向きに考えて、前向きに行動できる人」。
・履歴書持参で会社説明会を実施。次の選考に進みたい人にだけ履歴書を提出してもらう。
・初回面接から役員と面談。
育成
・一人ひとりの長所を見て配置を決める。
・OJT実施時、新人も周囲に溶け込みやすい環境を整えている。(横型組織)
・勤務評価は人事評価制度もあるが、あまりルールで縛ることはせず、上長が総合的に評価している。
定着
・個人の成長を10年単位で見守る。(結果を早くから求めない)
・フラットな社風で、若手から上司や役員に対しても意見の言いやすい雰囲気を醸成。
・転勤はあるが、将来的には愛媛に必ず戻れるという仕組み。
・ 朝、夕方、社長と常務が出社する社員に挨拶をしたり、社員一人ひとりに声掛けをしている。
・ 業績が低迷したことはあったが、これまで社員を解雇したことがない。
成果
離職率はほぼゼロ。安定した業績と事業の拡大につながる。
企業ストーリー

「一粒の麦」を経営理念に、創業時から新卒を採用

内装や外装、壁紙などの建築仕上材の生産を中心とした事業展開で安定した業績を収めているフジワラ化学は、1955年に藤原苆(すさ)工場として創業。2代目の曽我冬人氏が社長を務める現在、西条市の本社工場をはじめ、全国11都市に拠点を構えている。企業理念は「一粒の麦」。これには「大地である社会の中に創造の喜びを稔らせてゆきたい」との意味が込められており、全社員に浸透している。
同社では創業時から新卒採用を継続的に行っている。越智常務は「当時から新卒を採用している会社は、この地域では珍しかった。そのため、良い人材が採用できていた」と振り返る。

長い目で社員を育て、会社の成長につなげる

新卒採用における人材像は明確。「前向きに考えて、前向きに行動できる人」。経営理念を浸透させるためには、考え方が固執しているケースがある中途の人材を採用するよりも、新卒採用のほうが適しているという思いもある。数10年前には中途採用を実施していたが、人材育成はうまくいかなかった。「前の会社の考え方や企業精神が抜けず、なかなか人が育たなかった」と振り返る。社風に合う人材獲得のため、リーマンショックなどの不景気の中でも、新卒を採用し続け、現在も毎年、数人に内定を出し続けている。
会社説明会の参加者には、日付と志望動機を記していない履歴書を持参させる。越智常務は「話を聞いて、次に進みたい人にだけ提出してもらっている」と意図を説明。会社の理解をより促すために、初回の面接から役員が担当する。
入社後も、一人ひとりの社員の長所を見て配属を決める。営業ノルマを課さず、10年単位と長いスパンで人材の成長を見守る。これまで業績が低迷した時期もあったが、社員を解雇した実績はなし。「たとえ悪事をはたらいても懲戒解雇をしたことがない」という寛容さだ。

離職率はほぼゼロ。3代続けて入社する例も。

現在、離職率はほぼゼロ。人事異動も家族構成や持ち家などを考慮して決めている。なかには、祖父―母―息子と3代続けて入社している社員もいる。取引先に対しても「価格だけでは決めない」。いかに良好な信頼関係を築けるかを重要視して決めている。
 曽我社長には「人を管理するのではなく、理解する」という考えがある。放任主義の裏返しは、社員一人ひとりに責任を持たせているということ。そんな会社トップの狙いによってチャレンジ精神にあふれた人材が育っている。越智常務は「人と人とは平等。前向きと後ろ向きであれば、前向きを選択する風土は根付いてきている」と、その社風に胸を張る。インターネットが普及し、社会環境が目まぐるしく変化する時代。「時代に即して成長のスピードを上げなければならない」との思いがある一方で、「会社の成長のためには、まずは人が成長すること」の考えは揺るがない。社員を見守る目はどこまでも温かい。

経営理念の「一粒の麦」は、社員のだれもがいつでも見られるよう、石碑にしている。

経営陣の社員を見守る目線は、厳しくも温かい。

同社では、世代間によるコミュニケーションの壁がなく、風通しの良さが感じられる。

会社はこう変わった

自由な社風が新しいビジネスを、継続的な人材育成が安定した業績を育む。横型の自由な組織で提案型の前向きな人材が育ち、現在では建築資材だけでなく健康食品や教材など関連事業にも進出。 継続的な人材の採用と育成は長期的な経営の安定と事業の拡大につながり、現在ではグループ計200名、国内11ヶ所、海外1ヶ所(ロッテルダム)の拠点を設けるまでに成長を遂げた。

今すぐできるはじめの一歩! 1.経営層自ら挨拶をし、社員との積極的なコミュニケーションを図りましょう。
2.自社にとっての新卒採用のメリットを洗い出してみましょう。
3.長期的な視点での人材育成計画を立てるため、まずは現状の課題把握に努めましょう。

企業データ

企業名:フジワラ化学株式会社
住 所:愛媛県西条市大新田94
創 業:1955年5月
従業員数:200名(グループ総計)
http://www.fujiwara-chemical.co.jp
【事業内容】
建築仕上材(内装材、外装材、壁紙)、機能性食品、芳香・消火・消臭剤、教材の研究開発・製造・販売および関連業務

※本記事内容、データにつきましては、取材時(2014年1月)の情報です。

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