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採用から顧客サービスまで、一貫して「ありがとうレストラン」を追求

株式会社マルブン

お客様に「共感」できる力でプレミアム感を創出 外食産業には、美味しさや衛生面、居心地の良い空間が求められます。ただ、それだけでは数あるお店の中からお客様に選んでいただけません。当社では「感謝」の気持ちを大切に、お客様に共感することで生まれるサービスを奨励しています。例えば、顔なじみのお客様の好みを覚え、好まれない食材を省いた料理を提供するなど、ささいなことでも一人ひとりのお客様に寄り添える、そのような人材を育てています。

執行役員 人事育成室 マネージャー  
小山純
入社17年目。高校卒業後、同社が初めて行った新卒採用で入社。ホールでの接客を4年半経験し、新設された広報の部署に配置転換。2010年から人材採用・育成にも携わるようになった。
課題
増加するスタッフに、マネジメントの仕組みづくりが必要となった
改善策
採用
●採用は「感謝力」を持っているか、同じ価値観で働けるかを重視する。採用の間口は狭くなるが、しっかりと見極めることで、長く働くことができる人材を確保する
●パートナー(パート社員)を積極活用。正社員登用も
育成
●理念体系を記した「マルブンスタイルブック」を社員(パート社員も含む)参加で作成。あらゆる機会に活用し、理念の浸透を図る
●ミーティングなどで社員が積極的に意見できる環境を醸成し、職場づくりに主体的に関われるようにする
●内外を問わず多岐にわたる研修を用意。自主性と創造性を培うことを目的とし参加は自由。入社1年目から参加できるなど全社員に平等に機会を与えている
●たとえ業績が下がっても、研修費は圧縮しない
定着
●年2回、自分自身およびスタッフ全員からの評価を用いた、360度人事評価制度を行い、昇給・昇進の機会が毎年ある
●人事評価を用いた会議で年1回表彰者を決定。各部門のNo.1やスター社員(お客様満足度ナンバー1社員)を表彰するとともに、受賞した社員・パートナーには一流の料理やおもてなしを体験できる副賞がある
●社内での勉強会には、パートナー(パート・アルバイト)も参加。時給がつく
●経営に参画できる仕組みがあり、独立を希望する社員には社長が直接指導
●理念ユニフォームの着用
成果
人材の定着率が飛躍的に向上、27年間黒字経営
企業ストーリー

店舗・スタッフの増加、会社の転換期に人材育成の必要性を感じた

 大正12年から続く「丸文食堂」。創業の精神である「家族で過ごす幸せな食卓」を提供し続け、現在の真鍋社長は4代目。時代の変化に合わせ大衆食堂からイタリア料理店へと業態を変更した。業績が伸びはじめ、新たな市場として松山市に進出した2000年当時に新卒採用で入社したのが、現在、執行役員で人事育成室のマネージャーを務める小山さん。小山さんは、外食産業でありながら朝礼で理念を唱和する珍しい会社のスタイルに興味を抱いたと言う。また、「感謝」や「ありがとう」を大切にする同社の考えに共感したことも入社のポイントだった。
一方で、店舗や従業員が増えるなか、真鍋社長自らによるマネジメントにも限界に近づいていた。権限を委譲し、店舗を任せられる人材の必要性を感じていた。そのような状況のなか、ホールとして接客に携わり4年半が過ぎた小山さんは、このまま接客業を続けるべきかと将来の働き方に悩んでいた。「社長はお見通しで、悩みを打ち明ける機会を設けてくれました。そこで、ホールでの接客経験を活かし人材育成や広報にも携わらないかと声を掛けてくださったのです」と小山さん。それから約12年、会社が変わっていくプロセスを体験することになった。

「マルブンスタイルブック」を活用し理念の徹底を図る

 「採用の段階から会社が掲げる『理念』に共感できる人かどうかを重要としています。」と小山さん。創業当初から守り続ける「ありがとう」の精神、いわゆる感謝力を持っているか、そこに価値を見出だせる人物かを見極める。マルブンの採用の間口は狭い。小山さんは「価値観の共有はもちろん、私や店長たちがこの子を育てきるという覚悟ができるか、そう思える人柄かを基準に審査しています」と熱く語る。
入社後は「マルブンスタイルブック」を活用し、徹底して理念の浸透を図っている。パートナーと呼ばれるパート社員も参加する理念委員会が作成、2017年には12年ぶりにリニューアルされた。創業の精神から始まり、理念や価値観、該当期の目標が詳細に体系化された約60ページにも及ぶ小冊子だ。社員たちは、週1回行われる理念の唱和以外でも、常に携帯し様々な場面で活用しながら、お客様のために何ができるかを考える。「例えば先日、親子連れのお客様がいらっしゃったとき、2人ともナポリタンを注文されました。接客したスタッフが、娘さんは実はソーセージが苦手だという会話を耳にしたのです。そのスタッフはすぐに厨房に伝え、娘さんにはソーセージ抜きのナポリタンを提供、大変喜ばれたということがありました」と小山さん。お客様の気持ちを推し量り、即座に決断、実行へと移すスタッフに成長を実感していた。

50種類以上の研修への参加は、社員の自主性に委ねる

 マルブンには多岐にわたる研修会や勉強会などが50種類以上用意されている。幹部社員の育成を目的とした社長セミナーや合宿研修、専門的なノウハウを身に付けるための海外ピッツァ研修や他店舗視察、さらに「おもてなし」力向上のために、日本を代表するテーマパークを定期的に視察するなど、ユニークなものもある。基本的に研修への参加は自由。自らが必要と思うものを考え選択させることで社員の自立を促す。一方で委員会活動にはパートナーも含め全員が参加。あらゆる場面でのスタッフ同士のディスカッションは盛んで、自分たちが会社をつくり上げているという意識が高い。「現在、販売され人気のチーズケーキは主婦のパートナーさん(現:社員)が開発したものです」と、小山さんも誇らしげだ。
 「飲食業界の労働環境を改善したい」これは真鍋社長が長年抱き続けてきた思いだ。効率性を高めようと無駄な会議は省き、店舗間ではテレビ会議を利用し、社員は最小限の時間で的確な情報・意見交換をする。

高まるロイヤリティ、業界では異例の離職率の低さ

 採用から育成まで一貫した理念の徹底や価値観の共有は社員のロイヤリティを高めた。小山さんは「もちろん最初か全てが上手くいったわけではありません。2010年ごろまでにオープンしたお店のスタッフはガラッと入れ替わりましたが、社内勉強会で会社理念を伝え始めてから、徐々に賛同者が残りはじめ、最近オープンした店では開店当時のスタッフが現在も頑張ってくれています」と語る。
全社員が感謝の気持ちでお客様に寄り添う「おもてなし」の接客が顧客の心をつかんだのか、27年連続黒字経営を達成した。2018年で創業95周年。次は100周年に向けて、社内外にもっと「ありがとう」を伝えられるサービスを目指している。

背中に「fun to cooking」のユニフォーム

笑顔でのおもてなしを大切にしている

理念や価値観、該当期の目標が詳細に体系化された「マルブンスタイルブック」

会社はこう変わった

「日本でいちばん大切にしたい会社」審査委員会特別賞を受賞 同社では、年1回の方針会議でパートナー含む全社員を対象にした年間表彰を行っている。お客様満足度が高い、理念通りに行動できた「ナンバー1社員」に「スター社員」の称号を与え、名刺にも記載され、一流の料理やホスピタリティが体験できる副賞もある。社員、パートナーに関係なく評価会議や店長会議などで評価され、全スタッフに公平に昇給・昇進のチャンスがある。 そんなマルブンは2016年、離職率の低さなどが評価され第6回「日本でいちばん大切にしたい会社」審査委員会特別賞を受賞した。これを励みにさらに働きやすい職場を目指すという。

今すぐできるはじめの一歩! 1.採用活動やビジネスモデルなど、全ての事業活動が経営理念と一致しているか検証しましょう
2.経営理念や目標などを書面にまとめ、社員と共有しましょう
3.会議では、パート社員やアルバイトなども意見が言える機会を設けましょう

企業データ

企業名:株式会社マルブン
住 所:西条市小松町新屋敷甲407-1
創 業:1923年5月
設 立:1965年9月 
従業員数:91名(※パート・アルバイト含む)
http://www.marubun8.com/
【事業内容】
地元の取引生産者から仕入れるこだわりのある新鮮でおいしい食材を使用している。
西条市にある小松本店の他、新居浜市に1店舗、松山市に6店舗、ピッツァやスパゲッティを中心としたピッツェリアや自家製生パスタや洋食を中心としたイタリアン洋食店、海鮮丼を中心とした市場食堂、産直食材を使用したピッツァやケーキのテイクアウトを中心とした店舗を展開している。

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