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スタッフが疲弊しない仕組みづくりで、在宅医療専門を確立

医療法人ゆうの森

新しい取り組みにチャレンジし続けます在宅医療専門たんぽぽクリニックに関わることは、誰もやっていないことにゼロからチャレンジできるワクワク感がありました。営業、広報、建物管理、パンフレット制作など事業立ち上げの一通りのことを勉強させてもらい感謝しています。高齢化社会がうたわれて久しい昨今、在宅医療の可能性は更に広がるでしょう。これからも新しい取り組みにチャレンジし続けます。

専務理事
木原 信吾
島根県出身。関西学院大学法学部卒業後、大手予備校のマネージャーを経て、2000年、旧知の仲である永井理事長に乞われ開業から半年後のたんぽぽクリニックに入所。愛媛県初の在宅医療クリニックを軌道に乗せることに成功し、現在は国内で在宅医療の重要性を広める活動や在宅医療の開業サポートなどに尽力している。
課題
開業から5、6年目、ほとんどの女性スタッフが相次いで育休に
改善策
採用
●ホームページの内容を充実、地域医療にかける思いを広く伝え、理念に賛同する人材を確保
●大学医学部の地域医療・在宅医療研修プログラムの受け入れ
育成
●年1回、全国在宅医療テストの実施(全職員参加)
●毎年2月に自己評価と管理者面談を行い、自身の業務見直しや次年度の目標設定につなげる
●在宅医療に関する研修会「流石café」、介護職員研修など、各種研修を充実
定着
●週1回フィロソフィー本を職員全員で唱和
●創立記念日のワークショップでは、職種に関係なく取り組みたいことのアイデアを持ち込み、共同作業で連帯感を生む
●最長3年間の育児休業制度、時短勤務、夏休みは休日を含め10日間程度まで取得可能な有給消化制度を設けるなど、女性スタッフや子育て世代に安心な職場環境を整える
成果
年間赤字3000万円のへき地診療所を黒字化、「日本サービス大賞」を受賞
企業ストーリー

県内で初めての在宅診療専門クリニックの開設は、苦難の連続だった。

 大学時代のフィールドワークで無医村を訪れるなど、かねてから地域医療の重要性を唱えていた永井理事長が、へき地診療所勤務を経て2000年に開業したのが「訪問診療専門たんぽぽクリニック」だった。理事長と旧知の仲であった木原専務理事は、「患者様の『楽なように・やりたいように・後悔しないように』を支える医療を目指す」という考えに賛同し、理事長が診療に専念できるよう裏方として支え、開業から二人三脚で歩んできた。
 木原専務理事は「愛媛県で初めての在宅診療専門ですから、最初はスタッフ集めに苦労しました」と語る。貸事務所の一角での開業に、紹介を受けたドクターが面接に訪れても、何をやっているか分かってもらえずなかなか信用してもらえない。しかし、増えていく患者数に理事長一人では追い付かず、何か手を打とうと考えた末、木原専務理事はホームページの立ち上げに力を入れることにした。まずは、在宅診療に対する『思い』を広め、主旨に賛同してくれるドクターに気付いてもらう必要があった。そこで、スタッフ全員分の顔写真やコメントのページを作りそれぞれの地域医療に対する思いを掲載、患者の病状を統計グラフで表すなど、当時としては画期的な内容のものを作成した。また、新分野での開業ということで新聞や雑誌に取り上げてもらう機会も多く、それがホームページの閲覧数増加を後押しし、開業から2年目でようやく有志が集まり始めた。
 しかし、順調に動き始めたクリニックに、開業5、6年目で大きな問題が持ち上がる。女性スタッフの相次ぐ妊娠・出産である。

患者様満足へつなげるための、スタッフが疲弊しない仕組み

女性スタッフたちが産休を取る中で、産休・育休制度など早急な仕組み作りが必要となった。さらに、法人理念である『患者様満足を生む24時間365日の在宅医療』を続けるには、その担い手であるスタッフが疲弊せず良質なサービスにつなげる必要がある。そこで、木原理事長はクラウドや電子会議をうまく活用し、日頃からそれぞれの患者に対する治療方針を共有することで、主治医ではなく、その日の常勤医が全ての患者に対応するという制度を作った。これで、ドクターはオンオフのメリハリがつき、休日はゆっくりと疲れを癒すことができるようになった。
 当初課題だった育休制度は最長3年間とした。これについて木原専務理事は、「ある女性スタッフが1年で復帰する際に『無理だったら3年に延長できると思うと、気持ちが軽くなり復帰しやすくなった』と言ってくれました。ですから実際に育休を3年間とったスタッフはまだ1名くらいしかいません。」と明かしてくれた。

開業から変わらない「患者様の満足が一番」という理念の浸透

『24時間365日の在宅医療』を支えているのは、「患者が楽なように・やりたいように・後悔しないように」という患者満足を追求する経営理念である。この経営理念はスタッフの全ての行動の指針となっている。週1回「ココロのめざすところ」というフィロソフィー本を全員で唱和。また、年1回行われるワークショップでは、職域に関係なく取り組みたいアイデアを募集、共同作業を通して「他者を満足させる」ことの大切さを学んでいる。

在宅医療専門機関のパイオニアは次のチャレンジを始めている

在宅医療専門の草分け的存在となったたんぽぽクリニック。スタッフは現在103名、ドクターも10名に増えた。現在は、『在宅医療』という分野が全国へさらに広がるように、開業支援や研修医の受け入れ、講演会活動など様々な取り組みを行っている。2012年、地域再生医療プロジェクトとして、赤字運営で廃止が決まった西予市俵津診療所の再生プロジェクトをスタート。人口1,200人余りしかいない俵津地区。診療所は年間3000万円の赤字であったが、培った在宅医療、訪問看護、訪問リハビリのノウハウで、半年で黒字に転換させた。何より、地域住民に安心して生まれ育った土地で暮らし続けられるという喜びをもたらしたことが大きな功績であろう。

先輩と後輩の間にもカベがなく、スタッフ同士の関係性が良好

全スタッフでの情報共有ミーティングは真剣そのもの

リアルタイムで情報共有できるよう、設備も充実

会社はこう変わった

職場の風土で培った『他者への思い』が、患者さんの笑顔につながる「職場の風土はとても大切です」と木原専務理事。ゆうの森のスタッフは全てのイベント、全ての取組みに必ず『皆を喜ばせる』というベースをもって、自発的に行動している。そうした風土が、仕事にも良い影響を与えるそうだ。例えば、スタッフの提案でミカン農家だった末期の患者さんを畑に連れていく算段をする。患者さんは長年手塩にかけて育ててきたミカンの成長具合を見て、安心して息を引き取る。それだけのことでも、遺されたご家族の心を穏やかにできる。医療の現場では欠かせない、常に他者を思いやる心を育んでいる医療法人ゆうの森は、2016年に「第1回日本サービス大賞 地方創生大臣賞」、「第6回四国でいちばん大切にしたい会社大賞」を同時に受賞。日本の在宅医療の発展に、今後も活躍が期待されている。

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企業データ

企業名:医療法人ゆうの森
住 所:愛媛県松山市別府町444-1
設 立:2000年 
従業員数:103名(2017年11月現在)
http://tampopo-clinic.com/
【事業内容】
訪問診療を主体とする有床診療所「たんぽぽクリニック」、へき地医療に取り組む 「たんぽぽ俵津診療所」(愛媛県西予市)を中心に、「訪問看護ステーションコスモス」 「居宅介護支援事業所コスモス」「訪問介護事業所コスモス」さらには 「はりきゅうマッサージ治療院クローバ」を併設する、在宅医療に特化した医療法人。

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