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ビジネスモデルの転換とともに、優秀な人材獲得と職場環境の改善へ

株式会社パルソフトウェアサービス

フラットな職場環境で、若い世代の意見を尊重する。 学生の皆さんに対して「今の若者は最新のデバイスを使い慣れていて、そんな君たちがシステムを作り始めたら、10年後にはきっと我々の思いつかない、まったく新しいものができるはず。だから君たちが主役になって欲しい」と伝えています。 現在は、社員に対してのコーチング力が試される時代になってきたのではないかと考えています。頭ごなしにダメ出しをするのではなく、考え方に寄り添うべき。かといって、ただ甘やかすのでもない。個人の意見は尊重するが、会社としてここは譲れないという明確な基準を示し、お互いに納得することが大切です。

代表取締役社長
大西 雅人
 1964年生まれの52歳。1990年4月、3人のメンバーで株式会社パルソフトウェアサービスを設立。設立当初はネットワーク構築支援を軸に事業展開。現在では医療系のパッケージ商品を主力に手掛ける。2011年専務取締役就任、2015年6月代表取締役社長就任。採用の選考に関わり、研修や交流会で積極的に若者の意見に耳を傾けている。
課題
自社パッケージの開発に際し、これまでとは異なる人材の採用が課題に。
改善策
採用
●継続的に毎年2~3名を新卒採用
●地元と東京の2カ所で採用活動を実施
●約2週間のインターンシップ制度を活用
●「新人でもやりたいことがすぐできる」裁量権の高さをアピールし、学生の動機づけを高める
●必要な人材であれば中途採用を積極的に行う
育成
●チーム単位で仕事をこなし、同じ目標を持ち難しい案件にも果敢にチャレンジ、わからないことはリーダーがフォロー
●人事評価制度導入を導入し、3ケ月に1度、上司と1対1の面談を行い業務内容や目標のミスマッチを回避
定着
●役職に関わらず「さん」づけで呼び合う
●入社1年目でもはっきりと意見できるフラットな職場環境
●週2回ノー残業DAYを設定
●永年勤続者(10年、20年)表彰、年間MVP表彰
●女性社員の育休制度取得率100%
●有給休暇が社内システムで簡単に申請可能
●健康経営診断において最高のSランク
成果
多様な考え方の学生採用成功。育休制度取得率100%など職場環境改善による定着率向上。
企業ストーリー

大手からの請負から自社パッケージの商品開発へ

 1990年4月の設立以来、システムインテグレータとしてネットワークシステムなど請負を中心に展開していたパルソフトウェアサービス。大手の電機メーカーやコンピュータ関連企業の一次請けで会社は順調に拡大していたものの、請負では景気に左右されがち。同業他社と同じようにリーマンショック後には受注が激減した。
 そこで少しずつ請負からの事業転換を図ろうと、2008年頃から自社パッケージの開発を進めた。開発したのが当時発売されたばかりのi-padを使った問診票アプリ「BEAR-D」。もともと2000年から愛媛大学医学部付属病院と医療ネットワークについての共同研究をしていたつながりもあり、医療系に特化したパッケージ商品を次々と開発。そのほかにIoTに着目した「遠隔監視装置BeagleOne」がある。センサーや機器類に接続し、異常発生するとメールでその情報を伝えるもので、さらには、その仕組みを活用し「ハンティングマスター」という害獣駆除システムも開発。県内の自治体で猪などの駆除に貢献している。今後も医療系だけでなく、他分野での商品開発も進めていく予定だ。
 このように業務内容を転換したことで採用すべき人材も変わってきた。お医者様とのリレーションを高めることができる人間力の高い営業や、ユーザーニーズを敏感に察知しより上流からパッケージを企画できるセンスを持ったエンジニアなど、より高度な能力やスキルを持った人材が必要となった。

インターンシップ制度を活用することで多様な人材を確保

 毎年2、3人程度継続的に新卒者を採用しているパルソフトウェアサービスでは、拠点がある愛媛と東京で採用活動をしている。売り手市場で大手企業でも採用難のなか、インターンシップを活用し優秀な人材へ早期のリーチを図っている。実は、インターンシップは以前から実施していたが、当初はエンジニアのヘルプ程度の仕事しか用意していなかった。現在は計画をしっかりと立て、プロジェクトへの積極的なコミットを図っている。
 実際にインターンシップ中の学生にあるパッケージシステムの回路設計をさせてみたところ、マニュアルを渡してすぐに構築を始めた。これには大西社長も驚いたという。その学生は現在社員として活躍中だが、入社を決意したのは「わが社に就職すれば自分のやりたいことがすぐできる」という大西社長の言葉だったそうだ。
 通常、チームで開発を進めていく方針を取っており、新入社員もすぐに何らかの開発に携わることができる。こういった企業方針を学生たちに伝えることもインターンシップは一役買っている。

取り組みが評価され、えひめ子育て応援ゴールド企業、第1号認定

 「採用した人材は会社にとって大切な財産です」と大西社長。同社では男女ともに働きやすい職場づくりのために様々な取り組みをしている。例えば「女性活用」もその一つ。2009年にはいち早く「えひめ子育て応援企業」の認証を受け、2015年に「えひめ子育て応援ゴールド企業」第1号に認定された。また、週2回のノー残業DAYを設定、有給休暇や育児休暇の取得も促進している。
 社員の育成・定着を図るために実施したのが人事評価制度の見直しだ。上司と部下が話し合いのうえで目標を定め、3か月ごとに上司が必ず1対1で面談を行い、うまく機能しているか、目標達成できているかを判断する。さらにこの評価制度をクラウド化することにより部署やチームのメンバーはもちろん、人事担当者がプロセスを共有。公平な評価につながるという。

男女問わず活躍できる環境が整備され、自社パッケージ製品も軌道に。

 女性社員の育児休暇取得率は100%。なかには3回取得した社員もいる。男性社員の育児休暇取得率も高まり、介護休暇取得実績もある。また、休職者の段階的な職場復帰のためのフレックス勤務制度や時短勤務制度、社員の健康づくりに向けた施策推進が評価され、広島銀行が実施した健康経営診断で最高ランクのSも取得。多様な人材が活躍できる基盤が整備され、定着率が飛躍的に向上。定着率の向上により、ノウハウが蓄積され、パッケージ製品が軌道に乗り始めた。現在、基幹プロダクトである「BEAR」シリーズのブランドコントロールをすすめ、パッケージ開発に着手し始めた2008年頃と比較すると全社の売上は約2倍に。今後はパッケージの売上比率が全体の7割になることを目標に邁進を続けている。

フラットな職場環境で社員間の風通しが良い

実際に育児休暇を取得し、「働きやすい環境」と語る採用担当の東灘さん

「えひめ子育て応援ゴールド企業」をはじめ、各種の認証・表彰を受けている

会社はこう変わった

事業転換でマネジメントが容易に「当初、安定的な売上拡大を目的にパッケージ商品の開発に取り組みましたが、それが職場環境の改善にもつながっています」と大西社長。請負であればクライアントの都合が優先されるが、自社パッケージの開発であればスケジュール管理も容易になる。さらには、週2回のノー残業DAYなどの取り組みにより、いままで残業が当たり前という風潮だったのが、定時までに作業を終了させようと集中力が高まり、業務改善と能力アップにつながっているという。 社内には在宅ワーク検討委員会も立ち上がり、時差出勤など様々な就労形態を推進している。

今すぐできるはじめの一歩! 1.「今の若い子は」ではなく、「今はそういう考えなのか」と若手社員の意見も尊重しましょう
2.フラットな職場環境で社員間の風通しをよくしましょう
3.評価のプロセスを見える化し、社員のモチベーションを高めましょう

企業データ

企業名:株式会社パルソフトウェアサービス
住 所:愛媛県松山市天山3丁目10-31第二くつなビル
設 立:平成2年4月4日  資本金:2,800万円
従業員数:81名(2016年4月現在)
http://www.palsoft.co.jp/
【事業内容】
「お客様の立場に立ち、ニーズを的確に把握し、最新のテクノロジーで最適なご提案をさせていただく」をモットーに業務アプリケーション開発、ハード・ソフトウェア開発、ネットワーク・サーバ構築、業務パッケージ販売・導入支援などを行う。

■東京支店 東京都中央区築地2-11-26築地MKビル7F

※本記事内容、データにつきましては、取材時(2017年2月)の情報です。

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