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採用・教育の一貫体制で、安定して高水準なサービスを提供

トヨタカローラ愛媛株式会社

お客様満足度を高めることで、社員は自社に誇りを感じる。「現在の自動車販売では、一つの車種を多くのチャネルで販売する車種もありますし、メーカー間の品質格差も昔ほど大きくない。横並びの選択肢が増える中で、お客様が選ぶのは“店”であり“人”。お客様満足度を高め支持されることで、社員も誇りを持って働くことができ、それがまた顧客満足に繋がっていく。こうした理想的なサイクルを作り上げるため、採用・教育まで一貫したシステムを導入し、安定して高水準なサービスの提供を目指しています。」

総務部人財課 課長代理
野間 貴博
1971年愛媛県今治市生まれの43歳。松山大学卒。1994年入社、11年間営業職を勤めた後、総務部人財課へ異動。現在、全職種の採用・教育を担当。
課題
入社後3年間で約半数が離職。定着率の悪さが課題に
改善策
採用
・採用、教育を同じ社員が担当する一貫した体制の構築。
・新卒系就職情報サイトや合同説明会の積極的な活用。
・面接以外に雑談の機会を設け、お互いの希望や狙いをざっくばらんに打ち明ける。
育成
・入社前研修、入社後研修、店舗配属後も月1回フォローアップ研修を実施。
・人財課と各店舗マネージャーが人材育成の方向性を共有。
・店舗マネージャー、研修受講者の意見をもとに、研修カリキュラムをブラッシュアップ。
・入社後2年間は売上よりも「基礎固め」。ノウハウの吸収に力を入れる。
定着
・人財課と各店舗マネージャーが人材育成の方向性を共有。
・年数回マネージャー研修を実施。マネジメント能力を養成。
・積極的な会話で若手の懐に飛び込み、風通しの良い職場風土を形成。
成果
大卒早期離職者の大幅な減少。四国内カーディーラー最大の顧客数を確保。
企業ストーリー

一向に改善しない早期離職率。モチベーション不足の解決方法を模索。

 松山市中央通り沿いのトヨタカローラ愛媛本社では、平日の朝から来客が引きも切らない。アテンダントと呼ばれる女性社員がキビキビとお客様の車を誘導し、ていねいにもてなす。広々とした店内の客席はほぼ埋まり、アテンダントがドリンクサービスの注文を取る。メニューには流行のラテアートも。
「ラテアートもスタッフが考えたアイディア。楽しんでやってくれているし、お客様にも好評です」。そう語るのは同社総務部人財課 課長代理を勤める野間貴博氏。野間氏が同社に入社したのは1994年。車のセールスマンと言えば飛び込み営業。キツくて長続きしない仕事というイメージが一般的だった時代だ。さらにバブル崩壊直後、車業界も急速な冷え込みに襲われていた。周囲の反対の声もあったが、絶対に成功すると心に誓った。
野間氏は自分が入社した当時の社内を「過渡期だった」という。役員の交代、業界全体の冷え込み、顧客ニーズの変化、続出する離職者、停滞する売上…こうした現状を打破すべく、同社では大きな改革に踏み切った。

採用担当が教育担当を兼務。一貫した教育体制の構築。

当時、新入社員の定着率は悪く、入社後3年間での早期離職率は約50%。同社では10年次までの研修カリキュラムを構築するなど、さまざまな対策を打ち出したが、状況は改善しない。根本的な改革の必要性を感じた同社では、当時別々の窓口であった採用担当と教育担当を統合。両方を同じ担当者が兼務することとした。これにより就職活動時から入社後1年間の研修期間まで、一貫したメッセージを届けられる体制を構築。就職活動から数えて約2年半の付き合いの中で、社員の個性に合わせた細かなケアも可能になった。
研修カリキュラムの充実にも心血を注いだ。当初、各店舗・各部署の反応は“研修している時間があるなら営業に行け”と言わんばかりのものだったが、着実に成果を積み重ね、教育の大切さが社内に浸透。さらに研修を受けた新入社員や各店舗マネージャーの意見を反映し、毎年カリキュラムをブラッシュアップ。今ではメール1つで新入社員を快く研修に送り出してくれるまでになった。20年以上前、参加者数10名程度だった新卒説明会の参加者も今では300名を超える。大卒採用早期離職者もほぼ無くなった。

自分なりの声を届け“この人に受け止めてもらいたい”と思われる存在に。

 野間氏が採用・教育を担当するようになって7年ほど経ったころ、上司から「ちゃんと新人たちと向かい合っているか?」と問いかけられたことがある。既にそれなりのキャリアを積んでいた野間氏は、戸惑った。自分なりに新人たちと真剣に向かい合っているつもりだった。野間氏は当時を振り返る。
「後から思えば、その頃は私自身も“上司目線”に変わりつつありました。上司として、採用・教育担当としてかくあるべき、みたいなモデルに、自分を当てはめようとしていた。そこで、新人たちと距離が出来てしまっていたのかも知れません」。自問自答を繰り返した結果、もう一度肩の力を抜き、積極的なコミュニケーションに努めた。世間話、失敗談、時には親父ギャグを繰り出して滑ってみたり…。内定者に対しても、メールでの情報発信回数を増やした。日々の会社の出来事や嬉しかったこと、新人を迎え入れる側の気持ちや考え方など、自分なりの声を届け続けた。「それで距離が縮まったかどうかは分かりませんが、以前より新人や内定者から相談を持ちかけられることが多くなりました」。
時には解決できないような大きな問題を相談されることもある。
だが「“この人に受け止めてもらいたい”と思われる存在となったことは、大きな成果だったと思います」と野間氏は胸を張る。

圧倒的な定着率の高さ。社員満足度の向上。

 同社の新卒選考は役員面接が基本。そこで、野間氏は別途1対1で話をするようにしている。1時間余り、雑談も交えながら会社側の考えや希望を伝え、学生からの希望や考えを引き出す。そうすることで、面接には上がってこない情報が得られることもある。
「ミスマッチは少なくなりますね。少なくとも“こんな会社に入るんじゃなかった”なんて話はありません」。
現在、大卒採用者の早期離職は、女性社員の結婚退職を除けば、ほぼ皆無だという。

日常の何気ないコミュニケーションも大切にしている。

女性スタッフのアイデアで日傘のサービス。女性のお客様に好評。

採用から研修まで関わることで、スタッフの成長を実感できる。

会社はこう変わった

「先輩は後輩の面倒を見るのが当たり前。」野間氏が入社した当時は、まだベテラン営業マンが肩で風切って社内を闊歩するような時代だった。営業テクニックは個人の企業秘密、売り方は教えてもらえない。離職率も高かった。「あ、先輩また辞めた、みたいな(笑)」と当時を振り返り苦笑する野間氏。しかし自動車業界を取り巻く環境の変化、同社の改革の成果により、社内の雰囲気も徐々に変化していく。教育体制が整い、先輩は後輩の面倒を見るのが当たり前となった。後輩は先輩をモデルとし、数年後の自分の姿をそこに重ね合わせることができる。 野間氏が勤務10年目を過ぎた頃、知り合いに「トヨタカローラ愛媛に勤めてるの? いい会社に勤めているね!」と言われた。キツい仕事と覚悟を決めて入社した頃を思えば、隔世の感があった。

今すぐできるはじめの一歩! 1.上から目線ではなく、新入社員と同じ目線に立ち指導しましょう。
2.採用活動時、応募者の希望や不安を共有しましょう。
3.上司や先輩社員は、些細なことでも積極的に情報発信し、部下や後輩に
 自分の声を伝えましょう。

企業データ

企業名:トヨタカローラ愛媛株式会社
住 所:愛媛県松山市中央1丁目16-5
設 立:1966年1月 
従業員数:334名(アルバイト含む・2014年6月現在)
http://toyota-corolla-ehime.jp/
【事業内容】
トヨタ自動車の新車販売、各メーカーの中古車販売および買取、自動車リース、
自動車整備・修理・板金、保険代理店業、通信機器販売、カー用品販売、福祉車両改造 他

※本記事内容、データにつきましては、取材時(2014年9月)の情報です。

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