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新卒採用に力を入れ、自社ブランドの開発と技術継承につなげる

株式会社アール・シー・フードパック

5年、10年のスパンで若手人材の成長を見守るベテランから若手への技術の継承が当社でも大きな課題の一つとなっていますが、昔のように先輩の背中を見て覚えるといったやり方では、今の時代はなかなか難しいですね。若手と積極的にコミュニケーションを図りながら結果を急がず、5年、10年の長いスパンで一人前になることができるよう、長い目で見守っています。

営業部部長
藤田育秀
大阪府出身。人材採用や育成を統括しつつ、営業部長として自社商品の販路拡大を目指して全国を飛び回る日々が続く。
課題
利益率向上と技術継承のために、自社ブランドの開発が必要だった。
改善策
採用
・5年前から研究開発部門の底上げのために大卒・短大卒の定期的な新卒採用を始める。
・2年前から将来の幹部候補を見据えた「総合職」採用を始める。
・大卒・短大卒の採用は主に公共機関を利用して実施。
育成
・入社して1年間は外部の研修を積極的に受講。
・総合職はジョブローテーションによって、ゼネラリストとして育成。
定着
・経営理念を徹底。
・育児休暇を取得しやすい雰囲気を醸成。
・年間休日116日、残業も繁忙期に1時間程度。
・規則で縛り付けるのではなく、社員自らが働きやすい職場環境を考える。
・職場にいる知的障害者が孤立しない職場環境を実践することで、他の社員も働きやすい環境を整備。
成果
過去3年間の離職率がゼロ。
企業ストーリー

利益率を高めるために自社ブランドの開発へ

1903(明治36)年創業、愛媛県西予市にある食品加工会社であるアール・シー・フードパック。創業当時はみかんなど果物や野菜を材料とした缶詰を製造していた。約30年前からレトルト食品の製造に着手。当時、愛媛県内ではレトルト食品に着目する企業がまだ珍しかった時代に、先見性のある取り組みだった。
食の安全性が叫ばれる中、地元産を中心に可能な限り国内産食材を使用するなどのこだわりが評価され、現在も順調に業績を伸ばしている。従来は自社ブランド2割、OEM8割で展開してきたが、約5年前から、利益率を高めるために自社ブランドの開発に力点をシフトしつつある。

採用方法を二分化して中長期的な人材の育成を図る

自社ブランドの開発に力を入れるために、5年前から大卒の新卒採用に力を入れ始めた。2年前からは将来の幹部候補生となる「総合職」採用がスタート。これまではほとんどの社員が製造部門に配属されており、限定的な求人ゆえに、いったん配属が決まればそのまま長く固定されることが多く、一方でそれが技術の継承にも繋がっていた。
総合職は1年間、社会人マナーや業界団体の研修など外部研修を積極的に受講する。そのうえで、ジョブローテーションにより、多くの部署を体験し、ゼネラリストとしての素養を養う。採用方法を二つに分けることにより、中長期的な幹部候補の育成と技術の継承という二兎を得ることに成功した。
また、評価基準や給与体系も客観的に評価できるように数値化を図った。パートスタッフにも出勤率や勤務態度に応じて年末に報奨金を提供するなど、モチベーションを挙げる工夫を随所に凝らした。

過去3年間の離職率がゼロ

同社は過去3年間離職率ゼロが続いている。年間休日116日、繁忙期でも残業は1時間程度。藤田部長は「社員が働きやすい雰囲気、過ごしやすい職場となっているのでは」と自負する。出産育児休暇を取得する社員も多い。「復職後も部署でフォローを受けつつ、生き生きと働く先輩が多いからでしょうね。」と同氏。
また、経営理念を徹底しているが、決して規則で縛り付けない。トップダウンではなく社員同志のコミュニケーションを大切にし、「どうすれば皆が気持ち良く働くことができるか、皆で考えよう」と経営陣は社員に問いかける。
「何事も時代に合わせて変化する」が同社の経営方針。一概に古いものを切り捨てることはせず、自発的に改革を繰り返し、ターニングポイントを乗り切っていく。昭和30年代から使われてきた缶詰用の機械が、平成の今日も現役で稼働している。全国的にも珍しくなったその機械とともに、他社ではできなくなった技術を同社では継承しつづけてきた。古いもの、新しいもの双方の共存が、同社の一貫した姿勢である。

数々の試作品を経て、新たな商品が完成する。

地元愛媛の素材を活かしたカレーや、ちゃんこ鍋などヒット商品も多数。

「風通しの良い職場なので、前向きに仕事ができます」と若手女性社員。

会社はこう変わった

若い力を活用することで、商品開発のスピードが向上。売上など目に見える企業業績に反映されるのは「まだまだこれから」と藤田部長。ただ、商品開発のスピードは速くなり、パッケージ一つとっても若い感覚のデザインが提案されるなど新卒採用のメリットを語る。何よりも若い人材が入社することで職場の活性化につながり、以前にも増して職場が明るく、元気になったと言う。

今すぐできるはじめの一歩! 1.自社の課題を解決するためには、どのような採用方法(新卒採用or中途採用など)が適切か考えましょう。
2.社員自ら職場環境の改善を提案できる機会を設けましょう。
3.若手社員にはすぐに結果を求めず、成長を見守るための長い視点を持ちましょう。

企業データ

企業名:株式会社アール・シー・フードパック
住 所:愛媛県西予市宇和町卯之町2丁目575番地
創 業:1903年
設 立:1967年 
従業員数:50名(2013年11月現在)
http://rc-foodpack.co.jp
【事業内容】
缶詰およびレトルトパウチ食品の製造・販売

※本記事内容、データにつきましては、取材時(2014年1月)の情報です。

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