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家業から企業へ。役割を明確化することで業績は最高記録を更新中

株式会社ホテル八千代

従業員一人ひとりが人生に明確な目標を持つことが、競争力の高い組織につながる ホテル八千代の従業員には、日頃から「会社を君たちの人生のステップアップにしなさい」と伝えています。例えばやりたいことを見つけ資格を取る、スキルアップし自分を活かせる会社へ転職する、もっと社会を勉強し、幅広い知識を吸収して欲しいと考えています。そのように一人ひとりが目標と向上心をもつことが組織の活性化とサービス向上につながると考えています。

経営企画室長
菅坂 昌平
 ホテル業界での実績を買われ、2014年11月に経営企画室長として入社。37歳。入社1年で150%の業績アップを達成。ホテル八千代のさらなる進化のために改革をすすめる。特に社員教育に熱心に取り組んでおり、「人」をテーマにした講演も行う。
課題
ホテル八千代の支配人として経営の改革に着手
改善策
採用
●従業員数を増やし役割分担と責任の所在を明確化
●積極的な新卒採用を実施。採用基準の基本は「気持ちのよいあいさつができること」と「人生のビジョンがしっかりとあること」と明確に。
育成
●研修制度を充実。OJTはもちろん、お客様に観光案内ができるよう、瀬戸内しまなみ海道などを巡る旅行研修を実施
●社外のセミナーや勉強会にも積極的に参加を促す。また、そこで得た情報や知識は他の社員と共有する場を設けている
●ミスや失敗を恐れず果敢にチャレンジすることを奨励
定着
●週に1回、支配人が全社員とミーティングを行い、経営ビジョンの共有と理念の確認を行う。
●「3ヶ月に一回面談を実施。目標達成者には手当を支給
●パート従業員を積極的に正社員化
●生産性向上のために、基本的に残業をしないことを明示。「決められた労働時間に仕事を完了する」社員こそが認められるという制度を構築。
成果
改革後1年で業績は150%アップ。CSアンケートでトップクラスの結果
企業ストーリー

競合他社がひしめくなか、業績改善のための改革がスタート

 昭和27年創業の道後老舗旅館、ホテル八千代。館内にはいたるところにアンティークな装飾品が飾られ、和洋折衷の趣が人気のホテルだ。しかし道後といえば国内有数の温泉地。様々なホテルや旅館がひしめくなかで業績は伸び悩んでいた。
 2014年11月、経営企画室長として菅坂氏を迎え、業務改善がスタートした。「建物などハード面の改修には時間がかかる、組織や人材などのソフト面の改善であればハードルが低いのでは」と管坂氏は組織改革から取り組んだ。
 老舗旅館はもともと家業としているところが多く、そこから組織が派生しているため分業化があまり進んでいないケースが多い。例えば一人の従業員がフロント業務や仲居業務など様々な業務を兼ねるケースがある。これでは責任の所在があいまいになり、従業員のモチベーションは下がっていく。従業員は何が自分の仕事なのか、何が評価されているのか分からなくなってしまう。これを分業化し部署を作り、一人ひとりの役割を明確化していくことで、自分自身の仕事内容を把握し業務効率を上げることが可能となる。つまり家業から企業への変換に取り組むことにしたのだ。

一人ひとりの業務内容を明確にし、権限と責任を移譲

 菅坂室長は企業への転換に際し、まずは人員を増やした。そのために実施したのが、積極的な新卒採用とパートタイマーの正社員化だ。新卒を採用することで若く柔軟な人材を獲得するだけでなく、受け入れる側の従業員の自覚を促した。またパートタイマーを正社員化することで仕事への誇りと責任感を高めた。
 一方で全従業員でビジョンの共有も図った。「最初の1、2年は大変でしたよ」と菅坂室長は当時を振り返る。週1回従業員との話し合いの場を設けたが、最初は衝突もあった。末端の従業員とのコミュニケーションを図るため、夜遅くに現場を訪れることもしばしば。そうした努力もあり業績が上がるにつれ、徐々に信頼関係を築いていった。
 さらに、ビジョンを具現化するために3ヶ月に一度面談を設け、目標を達成した社員に手当を支給した。目標はお客様から頂くアンケートの点数や売上など数値化できるものを設定することで明確になり、従業員のモチベーション向上につながっている。

改革後、毎年業績は最高記録を更新。正社員数は3倍に

 「おかげさまで業績は毎年最高記録を塗り替えています」と菅坂室長。業務改革1年で業績は150%アップ。年間13人程を新卒で採用し、昨年1人出産のため退職したが、今年はまだ1人も辞めていない。新卒の教育は最初の1、2年は大変だったが、最近は先輩社員が成長し、力になってくれているという。正社員はこの3年で13~4名から50名に増えたが、業績も伸び続け収益に対する人件費の割合は減っている。
「自分が幸せでないと人を幸せにはできない」と、常々従業員に伝えているという菅坂室長。CSよりもESに力を入れた方針は間違っていなかったと実感している。
 

新卒で入社したスタッフが順調に成長

スタッフが自分で考え、その都度最高の対応ができるようにしている

様々な研修では、社員が目的意識を持って主体的に参加することが求められる

会社はこう変わった

CSアンケートでもトップクラスの結果 接客態度、サービスともに格段の進歩を遂げたホテル八千代は、道後温泉旅館組合のCSアンケートでもトップクラスの結果を得た。今後は地域のオピニオンリーダーとして、ここから情報を発信していきたいと菅坂室長は語る。「例えば料理の味は変えず、器や盛り付けを創意工夫する。こうした“温故創新”の精神で、古き伝統を残し新しいサービスや商品で付加価値を高め、地域の同業者に刺激を与え続ける存在になりたいですね」。  平成29年は耐震強化も兼ねた改修工事で1年間休館となるが、社員は他旅館やホテルへの出向、あるいは転職を希望する者にはより良い職場を提供できるよう支援するなど手厚い。生まれ変わるホテル八千代の今後のサービスに注目したい。

今すぐできるはじめの一歩! 1.生産性向上の仕組みづくりに取り組みましょう
2.目標は数値化し、目に見える形で共有しましょう
3.役割分担を明確にし、従業員一人ひとりに権限と責任を与えましょう

企業データ

企業名:株式会社ホテル八千代
住 所:松山市道後多幸町6番34号
創 業:昭和27年7月16日
従業員数:96名(平成26年現在)
http://www.e-yachiyo.co.jp/
【事業内容】
和風旅館業。常にお客様の要望の一歩先を行くサービスを目指して、社員一同最高のおもてなしでお客様をお迎えする。

※本記事内容、データにつきましては、取材時(2017年2月)の情報です。

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