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社員の幸せを求め続けて辿りついた12年連続顧客満足度日本一。

ネッツトヨタ南国株式会社

社員みんなが自ら考え、発信する。当社ではルールやマニュアル、上司からの命令は一切ありません。社員自身の気づきやお客様からの苦情を出発点に、各職場や全社の横断的なプロジェクトチームで話し合いを行い、改善に結びつけます。このプロジェクトチームでは多数決で判断せず、全員一致で物事に当たることが原則。現場の社員の発言を促すために課長以上は出席しません。「考える―発言する―行動する―反省する」を人間的な成長サイクルと考え、どうすればお客様に喜んでいただけるか、どうすればもっと良い職場になるか、社員一人ひとりが考えることを大切にしています。

取締役相談役
横田 英毅
1943年生まれ70歳。大学卒業後、西山グループ系列の宇治電化学工業(株)、四国車体工業(株)を経て、1980年にトヨタビスタ高知(株)(現・ネッツトヨタ南国(株))の発足と同時に副社長に就任。1987年に代表取締役社長に就任。2007年に代表取締役会長、2010年に取締役相談役。愛媛トヨタ(株)、(株)トヨタレンタリース西四国等の代表取締役も務める。
課題
高い離職率、社内には不満が渦巻いていた。一方で業界は厳しい競争にさらされていた。
改善策
採用
・時期をあえて設定せず年間を通して、新卒採用を実施。
・一人あたり最低30時間、最大で200時間をかけて選考(学生を選考するのではなく、会社の全てを見せることで、学生に選んでもらう狙い)
・2週間のインターンシップ(仕事内容や待遇など、会社の良い面、悪い面を全て見せて納得した上で入社)。
・月25日程度の会社訪問日を設定。
・明確な採用基準10項目を設定(価値観の一致など)。
・採用活動に1,000万円以上投資し続けている。
育成
・創業間もなく飛び込み営業を廃止。来店型営業に一本化し、価格競争はしない。アフターフォローにも注力。
・「考える―発言する―行動する―反省する」を人間的成長を促進するサイクルと考え、社員一人ひとりの自主的な取り組みを大切にする。
・ルールやマニュアルなし。現場の社員がミーティングや組織を超えたプロジェクトチームで改善点を話し合い、自発的に動く。
・プロジェクトチームの運営を通じて、全社員が会社の意思決定に関わる。
・個人プレーよりもチームプレーを重視し、朝礼に時間をかけてノウハウや顧客情報を共有。
定着
・会社の目的は社員とその家族を幸せにすること。その次はお客様と取引先。
・ES(従業員満足)を高めるためにCS(顧客満足)を追及する。お客様の喜ぶ顔を見た時、社員は幸福感を感じるから。そのためには社員のやりがいを高めることが大切。
・「スタッフご意見箱」を設置。
成果
業界では驚異的な離職率2%以下。顧客満足度NO.1を12年連続達成。
企業ストーリー

各ディーラーから社員を募ってスタート。社内には不満が渦巻いていた。

競争の厳しいディーラー業界の中で、ネッツトヨタ南国は全国のトヨタ販売会社で長く顧客満足度ナンバーワンの実績を誇る。同社は1980年にトヨタビスタ高知としてスタート。創業者である横田氏は「売り上げ第一」という「量」を追求する世の中の流れに逆行し、20~30年先を見据えて「人」を中心とした「質」を追求する経営方針を創業当時から掲げてきた。
 人材の大切さは十分理解していた横田氏であったが、創業当時は資本系列である西山グループの各ディーラーから社員を募っていたためか、社員の離職率が少なくなかった。辞めた理由を聞くと「上司との折り合いが悪い」「努力しているのに認めてもらえない」などの理由が判明。同じ頃、横田氏は他社の採用広告のなかで「仕事をしていてよかったと思うことは、お客様の喜ばれる顔を見た時」という一文が目に留まった。
「お客様に喜んでもらうことで、社員が満足を感じる組織にできるはず」そう気づいた横田氏。「ネッツトヨタ南国で買って良かった」とお客様に喜んでいただくために、そして社員が幸せを感じる組織づくりのために大きく舵を切った。

プロジェクトチームを結成し、全社員が経営参画

横田氏がまず実行したのが、飛び込み営業の廃止。来店型営業に一本化し、むやみな価格競争はしない。アフターフォローに注力し、お客様との関係性を深めた。現在でも高級ラウンジを思わせるショールームを、定休日を設けず、朝から夜遅くまで他店よりも長く営業し、250円の朝定食や無料のドリンクを提供。ここ10年で来店客は2倍以上に増えた。また、高額なオプションをつけたり、お客様の家へと訪問するような強引な営業活動を同社の社員はしない。全ては「お客様の幸せのために」その理念が徹底されている。
横田氏は社員の幸福度を高めるためには、社員自らがもつ能力をいかんなく発揮できる、やりがいがある職場となる必要があるとも考えた。そこで掲げたのが社員一人ひとりの自主性を大切にした全員参加型の組織。同社にルールやマニュアルは一切なし。全社の横断的なプロジェクトチームで話し合いを行い、改善に結びつける。このプロジェクトチームの一つで実質的な経営会議であるICD(知的資産開発)プロジェクトは毎月1回開催され、希望者はだれでも参加可能。来場客から寄せられた意見などを元に議論し、決定事項を掲示板に張り出し、情報を共有する。こうした取り組みを通じて社員には「会社の意思決定に自分も参画した」という経営者意識が芽生え、決定事項を果たそうという意欲が高まっている。

1人あたり最大200時間の面接で、理想的な人材の獲得に成功

 横田氏は新卒採用にも力を注いだ。社長自らが最前線に立ち、1人あたり最大約200時間の面接を実施。「最低でも30時間以上。時間をかけて、悪いところも含めて会社の隅から隅までを見てもらう。一番重視するのは人柄」。採用期間は時期を問わず、門戸を開放。採用活動費に年間1,000万円以上を投資し続けている。学生とじっくり話し合い、給料などの待遇ではなく、仕事そのものに魅力を抱き、本当に入社したいという人材を採用する。
また、新人研修の一環として、目の不自由な人の介助をしながら、四国八十八か所を巡る「バリアフリーお遍路くらぶ」に参加。鹿児島県の知覧特攻平和記念館を訪ね、特攻をして逝った若者たちの遺書も読ませた。「人生について深く考え、人間力を高めることができる」。結果的に、仕事へのやりがいや生きがいを感じることができる組織風土づくりに。

12年連続顧客満足度ナンバーワンは社員満足の表れ

「なぜ、企業は存在するのか。そこに集まってくる人たちが幸せになるため。正解は、それしかない」。横田氏が思い描いてきた青写真は完成しつつある。店頭で開催される各種イベントも社員が自発的に企画し、来場客アップにつなげている。全国にあるトヨタ販売会社約300社中、12年連続で顧客満足度ナンバーワンを獲得。社員が仕事へのやりがいと幸せを手に入れたことは、離職率2%というディーラー業界では驚異的な数字を見ても明らかだ。だが、横田氏は「これからも、今まで通りやっていく。それだけ」と前を見据える。さらなる高みを目指し、挑戦はまだまだ続く。

「お客様がいらっしゃると自然と笑顔になる」と若手スタッフ

カフェのような店内には、くつろぐために来店する人も多い

スタッフはそれぞれ自らの役割を考え、常に動き回っている

会社はこう変わった

新車販売台数、年間売上高とも更新を続け、10年前と比較し約2倍に。若者の車離れ、高齢化・少子化が進む高知という土地柄、同社を取り巻く環境は決して甘いものではない。しかし新車販売台数、年間売上高とも更新を続け、10年前と比較し約2倍に伸びている。その原動力は、12年連続でトヨタ販売会社における顧客満足度ナンバーワンからも分かるように、お客様の喜ぶ顔を求めて高いモチベーションで仕事に挑む社員たちに他ならない。

今すぐできるはじめの一歩! 1.新卒採用では一人ひとりの学生が企業理念に合うか見極めるために適切な時間を設定しましょう。
2.会社のルールやマニュアルが、社員育成にとって最適な内容となっているか、再検討しましょう。
3.採用の際には、可能な限り情報を開示し、ミスマッチをなくしましょう。

企業データ

企業名:ネッツトヨタ南国株式会社
住 所:高知県高知市南川添4-28(高知本店)
設 立:1980年4月 
従業員数:133名(2014年1月現在)
http://www.vistanetz.com/
【事業内容】
新車・中古車の販売。中古車の買取り。自動車整備・部品等の販売。 損害保険・生命保険代理店。 KDDI等の取り扱い、PIT高知、四国自動車博物館、モーターランドたぢかわの運営管理。 その他様々なイベント運営企画。

※本記事内容、データにつきましては、取材時(2014年1月)の情報です。

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