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社長自ら「大失敗賞」。失敗を糧に、チャレンジし続ける社風づくり

太陽パーツ株式会社

社長だって失敗する。前向きな失敗なら何度でもチャンスを与える。「中小企業において、人材不足は常に悩みの種です。失敗した社員を左遷していたのでは、たちまち人材が枯渇してしまう。ミスを挽回し、失敗を糧に成長して欲しい、そんな思いから“大失敗賞”は始まりました。トライ&エラーの繰り返しで、企業も人も成長していくのですから。」

代表取締役 
城岡 陽志
1949年愛媛県生まれ。65歳。愛媛県立川之石高等学校卒業後、大阪のネジ専門商社へ入社。29歳で退社し、1人で金物の営業を始める。1983年、法人組織に改組。創業から34年で年間50億円以上の売り上げを誇る企業に成長させる。趣味はゴルフと油絵。座右の銘は「ピンチはチャンス」。
課題
社員の計画した新規事業が失敗、多額の損失計上。重苦しい雰囲気を一掃し、次にチャンレジしてもらいたい。
改善策
採用
・能力がありながら、大手企業からスピンアウトした人材を採用。さらにその人脈を活かし、能力の高い人材をスカウト。
・中途採用については、市の就労支援制度を積極的に活用。
・面接者に近い目線で選考した方が良いとの考えから、採用面接は若手社員が担当。社長面接は最終確認のみに。
育成
・民間、国を問わず、研修制度の積極的な活用。
・大手企業OBを招へいし、育成ノウハウを吸収。
・社長賞、大失敗賞をはじめとした各種褒賞制度で社員のチャレンジ精神を喚起。
定着
・2カ月に1回、会社が費用を負担し、社員同志での飲みニケーションを義務付け。基本的には仕事の話のみ。
・毎月1回「縁の下の力持ち賞」を表彰。成果の見えにくい部署や努力をしている社員にもスポットを当てる
・「商店制」の導入。各部署の社員で1つのチームを構成し、予算、売上、経費などを管理。利益が出れば決算賞与を出す。
成果
チャレンジ精神旺盛な社風の醸成。特許製法の開発成功。事業の拡大、売上高50億円突破
企業ストーリー

赤字5,000万円!重苦しい雰囲気を一掃するには…?

 “メーカー機能と商社機能を併せ持つ技術集団”を標榜する、太陽パーツ株式会社。金属を中心とした部品の開発・製造までを請け負う部品事業部と、一般住宅向けのシステムキッチンパーツを中心とした住宅建材事業部の2本柱だ。近年では金属部品鋳造に変革をもたらす「エコダイカスト」製法で特許を取得。大きな話題を呼んでいる。
 そんな同社の飛躍の源となっているのが“チャレンジ精神”だ。「自社製品を製造・販売するのは中小企業の夢。常日頃から“自社製品を作ろう”と社員に発破をかけていました」と城岡社長。そんな社長の声に応え1995年、当時の経理課長と若手社員数名が「カー用品の開発をしたい」と名乗りを上げた。車内芳香剤やハンドルカバーなどの開発製造を行い、大手カー用品チェーン店で販売するという。若手社員の意欲に感動した城岡社長は事業計画書を確認し、迷わずゴーサインを出した。次々と商品を開発し、納品されていく様子をみて城岡社長は「すごいな。こいつら天才なんじゃないか、とすら思いました」と苦笑いでその時を振り返る。しかし、まもなくその理由が判明した。カー用品業界は基本的に買い取りではなく、委託販売、つまり売れなければ返品となる。半年もすると、大量の返品が倉庫を埋め尽くした。城岡社長は撤退を決断。赤字額は5,000万円に及んだ。企画した若手社員たちは意気消沈、社内は重苦しい雰囲気に。ただ1人“ピンチはチャンス”を座右の銘とする城岡社長は違った。「果敢にチャレンジした結果なら失敗してもいい。沈んだ気持ちを切り替えて、次の仕事にチャレンジして欲しい」。そう考えた城岡社長は一計を案じた。

会社の太っ腹さを見せつける、賞金付き「大失敗賞」。

 太陽パーツでは年2回、全社員が集まる経営計画発表会を行っている。従来より、活躍した社員には“社長賞”、“優秀賞”などを贈り、モチベーションアップに繋げてきた。城岡社長はそこで「大失敗賞」なるものを授与することに決めた。「みんなで笑い飛ばして、それでチャラにしようと。さらに会社としても太っ腹なところを見せてやろうと思って、賞金も1万円付けました」。受賞者がシリアスに受け止めないよう、笑いを交えながら表彰式を行った。
 現在は役員会議で受賞者を決定しているが、最終的なチェックは城岡社長が行う。「やっぱり、冗談の通じない人もいますからね。1度、すごく困惑されたことがあって。受賞した社員にとっては、ショックだったのでしょうね。こりゃいかんなと」。そもそもは1回限りのつもりだった。そんなこともあって、一時期大失敗賞は姿を消したが、メディアで話題となり「こうなったら会社の宣伝と割り切って」と再開を決めた。大失敗賞が浸透していく中で、2度3度と受賞する社員も現れ、ついには城岡社長自身が受賞者となるはめに。「新規事業に向け設備投資を行っていたのですが、その事業計画が立ち消えになってしまいまして。2,000万円の損失になりました」と頭を掻く。しかし、この出来事のおかげで大失敗賞の説得力が増した。
 「私自身、失敗の連続でしたから。人も会社もトライ&エラーを繰り返して成長していく。失敗を恐れず挑戦し続けることが、成功の秘けつです」。城岡社長の言葉通り、歴代の大失敗賞受賞者たちは、その後目覚ましい成長を遂げていく。ちなみに同社では社長賞、優秀賞、大失敗賞の他にも“縁の下の力持ち賞”や“良いところ探し大賞”など、ユニークな表彰も行っており、パートなども含めた全従業員を万遍なく評価する制度を築いている。

話題は仕事の話のみ!の「飲みニケーション」

 もう1つ、太陽パーツのユニークな制度が「飲みニケーション」ノルマの存在だ。2カ月に1回、1人1500円までの予算を会社が負担し、上司、部下が連れ立って飲みに行く。ここまではよくある話かもしれないが、同社のユニークな点は“話題は仕事の話”限定というところ。「会社のお金で飲んでいるんだから、仕事の話をしなさい!と。笑い話がしたいなら自腹でどうぞ」と城岡社長。お酒が飲めなければ、食事会でもかまわない。とにかく、上司と部下が本音をぶつけあえる場所を作ることが大切。そしてその真の目的は、人間力の向上とコミュニケーション能力のアップにあるという。「部下がいかに優秀だったとしても、上司がボーっとしていたのでは、部下の良さを引き出せない。お酒の場で語り合ってコミュニケーションを深めることにより、お互いの考え方や人間性を理解して欲しい」。このノルマの設定をきっかけに、自主的に飲みニケーションを図る社員も増えたという。社内コミュニケーションの円滑化にひと役買っていることは間違いなさそうだ。

売上高100億円突破。新規分野の売り上げ割合が大幅に増加。

 現在、大阪府堺市本社のほか、東京都と静岡県に営業所を設置。工場は国内に4カ所、海外工場として中国の大連、上海の2カ所が稼働している。取引先企業は500社を超え、年間売上高は50億円を突破。また特許製法「エコダイカスト」の開発に成功、これまでの常識を破る驚異的な低価格を実現し、業界に旋風を巻き起こしている。

若手社員とのコミュニケーションにも積極的

全社員がチャレンジ精神を持ち続けられるよう、前向きな「失敗」を奨励

風通しの良さは、社長の経営姿勢の現れ

会社はこう変わった

チャレンジ精神旺盛な社員たちが、会社をけん引していく社風に。 第1回の大失敗大賞を受賞した社員は、やはり「悔しかった」というのが本音だった。その後、上海工場を立ち上げる際に自ら手を揚げ、現地法人のトップとして大車輪の活躍を見せた。現在は事業部長の重責を担っている。その他の受賞者も、翌年には挽回し社長賞を受賞するなど、「ウチで昇格するのは大失敗賞受賞者だけだよ」と、城岡社長が冗談めかして語るほどだ。挑戦の結果の失敗であれば、得るものはある。失敗を糧に成長していける力が、太陽パーツの躍進を支えている。

今すぐできるはじめの一歩! 1.飲みニケーションで、社員同士が本音を語り合える場を設けましょう。
2.成功・失敗に関わらず、がんばっている社員を表彰し、努力に報いましょう。
3.面接者に近い目線で選考するため、採用面接を若手社員に任せてみましょう。

企業データ

企業名:太陽パーツ株式会社
住 所:大阪府堺市北区八下北1-23
設 立:1983年5月 
従業員数:120名(2014年10月現在)
http://www.taiyoparts.co.jp/
【事業内容】
金属部品加工及び機器の設計・製造、住宅設備機器の設計・製造


※本記事内容、データにつきましては、取材時(2014年10月)の情報です。

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