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ジョブローテーションによる技術力向上と意識改革で、防護服市場でのブランド確立へ

株式会社トーヨ

作業ではなく、製品をつくる喜びと意識を醸成「当社はアラミド繊維を使った作業用防護服のメーカーです。1995年よりCADを導入していますが、ローテーションを組み、製造部門の社員は全員、CADを体験してもらっています。単にラインで1つの作業に習熟するのではなく、CAD、裁断、縫製という完成までの流れを体験することで、多角的な視点やアイディアが生まれてくると思います。」

代表取締役
渡辺 学
1966年生まれ。48歳。高校卒業後、株式会社トーヨ入社。現場で縫製、裁断などの技術を学んだ後、2004年に先代創業者で現会長を務める渡辺茂義氏から引き継ぎ、代表取締役社長に就任。
課題
受託の賃加工縫製に限界を感じ、下請けからの脱却を図るため、商品企画・開発が急務に。
改善策
採用
・縫製を担当するスペシャリストから、製造全体を担うゼネラリストの求人へ。
・面接時は工場見学、作業体験を実施。「人の役に立つ物を作る」という仕事に共感できる人材を採用。
育成
・社内で技術コンテストを実施。切磋琢磨し技量の向上を目指す。
・人事ローテーションを実施し、製品完成までの流れを全て体験。業務の全体像を理解することで、自ら考え行動できる風土づくり。
・改善表を作り、現場の改善点や意見を社長へ直接届けることで風通しの良い環境づくりを図る。
・個人個人の能力に応じ、適材適所の配置を行う。
定着
・各作業ラインをチームとして競わせ、チームワークと一体感を醸成。
・地元の祭りに積極的に参加。掃除等のボランティアにも加わり、地域社会とのコミュニケーションを図る。
成果
受託の賃加工縫製業から完全に脱却。防護服の自社ブランドを確立し、全国へ展開。売上の継続的な向上
企業ストーリー

この先、生き残る道ためにはメーカーになるしかない。

 アラミド繊維という、耐熱性・耐炎性・耐薬品性に優れ、非常に強力な繊維を素材とした防護服の製造で知られる株式会社トーヨ。自社ブランドの山林用防護服「グリーンボーイ」、ジェット洗浄作業用強化服「ジェットボーイ」、耐熱防護服・電気防炎服「サーマルボーイ」の3本を柱に、順調に業績を伸ばしている。
 同社は、現在会長職を務める先代・渡辺茂義氏が紳士服縫製を主力事業として大阪で創業。1967年に地元西条市へ帰郷し、婦人既製服へと方向転換、輸出を中心に会社は成長を続けた。しかし、1985年頃には円高不況のあおりを受け、苦境を迎える。「このまま下請けの賃加工をやっていたのでは、未来は無い」そう考えた先代は、新たな事業展開を模索し始めた。そこで出会ったのが“アラミド繊維”だった。優れた耐熱性・耐炎性・耐薬品性を持つこの繊維は、それまで軍事や宇宙開発事業で用いられてきた。この素材を防護服として製造し、民需を開拓するというのが先代の狙いだった。  
 しかし、同じ着るものとはいえ、これまで取り扱っていた製品とはまるで勝手が違う。いきなり会社の体制を変えるわけにもいかず、数年は先代が1人で研究開発を続ける日々だったという。現社長である渡辺氏もこのころ入社したが、しばらくはアラミド繊維には関わらなかった。だが“企画・製造・販売のできるメーカーへと脱却しなければ未来は無い”との思いは先代と共通していた。

CADの導入で製造現場が一変。社員の総合的な技術力向上へ。

 先代の努力が実を結び、アラミド事業に少しずつ目途が立ち始めた1987年、同社は西条市小松町へ移転。その後、縫製工場の増設、最新機器の導入を経て、1994年にはこれまでのアパレル事業部と並行しアラミド事業部を立ち上げた。
 さらに翌年、同社の体制は大きく変わった。CADの導入である。当時、ミシン以外に工場にある機械といえば裁断機くらいだった。右も左も分からない状況のなか、1人の女性社員を抜擢。CADの習得を命じた。社長をはじめ周りのサポートを受け、四苦八苦しながらも、少しずつ上達していく。同時に、CADの利点が社内にも広がっていった。デザイン、パターンの修正、サイズ展開、型紙の管理など、パソコン1台で簡単に出来る。CADを最大限に活用できるよう、現場の人員配置にローテーションを組み、製造部門全員が1度はCADに触れる体制を組んだ。全員が、使いこなせるわけではないが、「CADは様々なことができる。デザイン、仕様書、パターンメイキング、サイズ展開など、どれか1つでもできるようになってくれれば」。社員はCADだけでなく縫製、裁断のラインを経験し、製品完成までの全行程を体験、理解する。そうすることで「総合的な技術の向上や、製品に対するアイディアが生まれてくると思います」と渡辺社長は語る。こうして、一通りの仕事を経験した社員は、個々の能力に応じた適材適所の業務に配置される。
 また、CAD導入をきっかけにIT化を推進した同社では、独自の生産管理システムを導入。受注からCAD~裁断~縫製~出荷までの進捗状況を色分けし、1目で視認できるシステムだ。これで各ラインの成績を競い、作業の遅れているところは改善策を検討。各ラインのチームワークの醸成、個々の役割の確認などの効果も。さらに改善策や意見、要望は改善表を通じて社長へ直接届けられ、対策が講じられるシステム。実際に社員の改善提案から、作業効率のアップが実現したこともある。

社内技術コンテストで社員のモチベーションアップ

 メーカーとして、自社のオリジナル商品を展開していくためには技術力は不可欠。社員の技術向上とモチベーションアップのため、トーヨでは不定期で社内技術コンテストを実施している。これは、定められた期間でどれだけのクオリティの製品を仕上げられるかを競うもので、社員を2~3名指名し、期日を設けサンプル品の提出を求める形式だ。優秀な結果を残した社員には、給料を上げるなどの特典がある。ともすれば流れ作業になりがちな工場において、社員の意欲を高める有効な手段と言えるだろう。

アラミド事業への一本化、自社ブランドの確立。継続的な売り上げの向上

 現在、株式会社トーヨではアパレル部門を廃止し、アラミド事業部に一本化している。先代がアラミド繊維事業に着手した当時は「海のものとも山のものとも分からないと不安もあったが、希望は持ってやってきた」と渡辺社長。当時は、市場で防護服自体が認知されておらず、売上に苦しんだ時期もあったが、現在では市場も広がり、右肩上がりに推移している。

製品の改善・改良に営業からのフィードバックを重視。意見やアイデアを製品に反映させている。

基本方針・スローガンは全社に掲げ、社員への浸透を図る。

命を守る「防護服」には、「着る人の安全を守りたい」という社員の想いが込められている。

会社はこう変わった

人命に関わる防護服メーカーとしての責任感を醸成 「メーカーになるというのは、中小企業の1つの夢だと思います。自分の作った商品を全国へ販売する、ということができることに夢がある」と渡辺社長。念願のメーカーとなった株式会社トーヨだが、防護服という人命に関わる製品を製造しているという責任感は強い。採用試験の際には、工場の見学、実際の作業の体験もしてもらう。「素直さ、誠実さを持って、まじめに取り組んでくれる方。そして“人の役に立つものを作っている”という仕事に共感してくれる方に来て欲しいですね」。

今すぐできるはじめの一歩! 1.ミスマッチ防止のため、採用面接時には、業務体験を実施しましょう。
2.社内コンテストなどを実施し、技術・意欲の向上を図りましょう。
3.ジョブローテーションにより、社内業務に対する俯瞰的な視点を養うとともに、適材適所の人事配置につなげましょう。

企業データ

企業名:株式会社トーヨ
住 所:愛媛県西条市小松町新屋敷甲2155-1
設 立:1972年7月 
従業員数:37名(2014年10月現在)
http://toyo-ltd.jp/
【事業内容】
アラミド繊維及び素材(耐熱性・耐炎性・耐薬品性・高弾性・高強力性を有するもの)による安全衣料並びに用品、資材の製造及び販売
衣料品、繊維製品の製造販売にかかわる企画、調査、研究、開発及び情報提供に関する事業


※本記事内容、データにつきましては、取材時(2014年10月)の情報です。

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