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一時採用をストップし受入体制を整備、全員教育で定着率向上

株式会社アグサス

不況でも新卒採用を続けてきた成果が花開く新卒採用を再開して間もなく、リーマンショックが発生しました。 企業の設備投資は冷え込み、当社も業績が悪化しました。しかし、人材育成を経営の中心に据える当社は、地道に新卒採用を続けました。その当時入社した社員も順調に成長を続け、今や貴重な戦力となり、当社の事業拡大に貢献しています。一度、採用が途切れると職場の年齢バランスや採用のノウハウも途切れてしまう。当社も3年間、採用をストップしたことで負の遺産が発生しました。やはり「継続は力」ですね。

代表取締役社長
川井昇
1965年生まれの49歳。早稲田大学政治経済学部卒業、1989年三和銀行入行、1992年株式会社松山キヤノンOAシステム入社(現:株式会社アグサス)入社、2002年代表取締役就任。2010年よりグループ企業であるステラグループ株式会社の代表取締役も兼務。中小企業診断士の顔も持つ。
課題
職場でのコミュニケーション不足、指導力不足で、早期離職が相次ぐ
改善策
採用
・1次面接から社長が担当、最終面接後も社長自ら個別面接を行い、本音トークで対話することで双方が納得できる内定決定を目指す。
・会社説明会には2~3年目の若手社員が出席。
・面接時にgood情報だけでなく、bad情報も伝え、ミスマッチを防ぐ。
・リーマンショック後、業績が振るわない時期も継続して採用を続けてきた。
育成
・所属している部署だけでなく、社員全員で新人を指導。
・入社後の半年間は新人研修、8月に仮配属し、研修と仕事を半分の割合で従事、新人研修では幹部が苦労話や体験談を伝えモチベーションアップを図る。
・新人研修後、本人に希望する勤務地と部署を聞き配属。
・入社後1年間は日報を提出、全社員が閲覧でき、先輩がアドバイス。
・クレーム等は社内全体でメールで共有、データベース化。
・資格取得には補助金を支援。
定着
・「企業が成長するためにはそこで働く社員が幸せでなければならない」という社長の考えを徹底。
・複雑だった階層を見直し、3階層に。フラットで風通しの良い職場に。
・ESアンケートを実施し、職場改善につなげている。
・8時以降の残業は禁止。
・完全週休2日制、年間休日125日。
・役員も率先して新規開拓に取り組むなど現場主義を徹底。
・社内で大小様々なサークルあり。
・女性の育児休暇を、人員配置の工夫などで積極的にサポート。
成果
早期離職が改善。教育環境が充実しサービスの質が向上し、業績も拡大
企業ストーリー

能力重視の採用と受け入れ体制の未整備が、早期離職を招く

 愛媛県下でOA機器の販売とサポートを手がけ、シェアを延ばして続けてきた株式会社アグサス。2010年には首都圏を中心にオフィスソリューションを手掛けるステラグループ株式会社をグループ会社化し、広域的なサポートと最新のノウハウを獲得し、さらなるサービスの充実につなげている。「お客様と接する仕事ですから人が財産です」と考える川井社長は採用活動を企業経営の真ん中に据える。
 同社もかつては離職率の高さに悩まされていた。特に新卒で入社した社員の早期離職が少なくなかった。最大の要因は受け入れ体制の未整備。職場では仕事上の話しかせず、部下への教育も不足していた。「お互いのことをよく知ろうという姿勢がなかった。当時の組織は階層が複雑で風通しが今一つだったのかもしれません」と川井社長。深い人間関係を築けなかったことから、部下は悩みや苦しみを1人で抱え込み、結果的に離職につながっていた。
採用時においても、学生が同社の仕事や社風に合うかの視点が欠けており、内定を辞退されることもしばしばあった。採用と育成における悪循環を改善するため、2002年に社長に就任した川井社長は社員満足度の高い職場づくりを目標に掲げ、一時的に新卒採用をストップした。

フラット・風通しの良い職場で全員教育を目指す

「企業が成長するためには、そこで働く社員が幸せでなければならない」と考える川井社長は、残業を極力なくし、午後8時以降の残業は禁止に。「気持ちにゆとりができるし、家族とも過ごせる」と好評で、効率的に業務をこなす習慣がつき、業績も拡大した。また、定期的にESアンケートを実施し、社員の要望を吸い上げながら職場環境の改善に結びつけている。
 課題であった新人の受け入れ体制にもメスを入れた。約半年をかけて実施する新人研修では、幹部クラス30人が講話を担当。現場での体験談などを話し、新人のモチベーションアップを図った。また、入社後1年間は日報を提出させ、社内システムで全社員が閲覧できるように。「上司や先輩がすぐに相談に乗り、アドバイスできるようになった」と川井社長は効果を説明する。さらに、それまでの複雑な組織構造をあらためて3階層に。フラットで横型の組織と大小いくつものサークルで、社内につながりが生まれ、職場の垣根を超えて皆で新人を育てようという雰囲気が育まれた。風通しの良い職場は、今では同社の代名詞となっている。

社長自らの本音トークで、ミスマッチを防ぐ

新人の受け入れ体制にも目途が立ち、同社では2005年から新卒採用を再開する。社風に合った人材を獲得するため、川井社長が1次面接から担当。2次面接は現場のリーダーに任せ、最終面接は社長が再び担当することに。最終面接後も社長自らが個別面談を重ね、本音トークを展開。「新規開拓など現場の厳しさを包み隠さず伝えています。本当に入社する意志が見えるまで、内定を出しません」。時には電話で悩みを聞いたりすることもあるという。お互いが納得するまで話し合うことで、本気で入社したいという人材を採用できるようになった。

離職率は大幅に改善、職場環境の改善で業績も拡大

採用フローや受け入れ体制を改善したことで、内定辞退者はほぼゼロに。離職率も年に1、2人と激減した。残業の減少など労働環境の改善は、社員の仕事へのモチベーションアップにもつながっている。「でも決して楽な仕事ではありません。新規開拓をしないと会社に認められないですから」と川井社長。社員への要求は昔もいまも変わらない。それでも、社内で深い人間関係を築くことで、川井社長が目指す「全員教育」が浸透。お客様への対応にも改善が見られ、業績アップにつながっている。
社名のAGUSASを右から読むと「さすが」になる。「いま、やるべきことをきっちりとやっていくだけ」と川井社長。お客様に「さすが!」と言われる企業を目指し、アグサスは進化を続ける。

松山南営業所では、「ライブオフィス」として情報発信

キヤノンディーラーのスタッフサービススキルを競う世界大会では2位の実績

スタッフが自主的に企画し、開催した展示会では、高い来場者満足度

会社はこう変わった

上司の指導力が向上し、営業力・サービス力の充実につながる大幅な社内改革の結果、内定辞退者はほぼゼロに。離職率も年に1、2人と激減した。最近では一度退社したものの、「やっぱりアグサスが良いから」と再入社するケースも。上司と話す機会も増え、リーダーから部下への指導力が格段にアップ。メーカーが主催するスキルコンテスト優勝や製品販売で全国1位を3年連続受賞。サービスを競う世界大会では、昨年個人の部で世界2位を獲得した。

今すぐできるはじめの一歩! 1.新人の日報を全社に共有するなど、全社員で新人教育を行う風土づくりに努めましょう
2.時間を有効に使う意識を養い、残業を減らしましょう
3.定期的なアンケート実施等で職場環境に対する要望を聞き、人材施策に活かしましょう

企業データ

企業名:株式会社アグサス
住 所:愛媛県松山市六軒家町2番30号
創 業:1947年10月
設 立:1974年8月  資本金:3000万円
従業員数:グループ従業員数:268名(2013年11月現在)
http://www.agusas.com/
売上高:グループ売上高:51億円(2013年6月期)
【事業内容】
プリンタ・FAX等の販売およびサポート 、情報システム開発、インターネットおよびイントラネットの提案・構築、各種ソフトウェアの販売およびサポート、オフィス用品・オフィス家具の販売、用紙・トナーカートリッジなど各種消耗品の販売、携帯電話の販売、電話・通信回線取次など
【グループ会社】
ステラグループ株式会社

※本記事内容、データにつきましては、取材時(2014年1月)の情報です。

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