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リケジョ(理系女子)を活用し他社と差別化、新卒大工の採用も

重松建設株式会社

女性活用が仕事のマニュアル化と標準化につながった「女性は結婚や出産ですぐに辞めるから」と、女性の活用を控える経営者が多いと聞きます。当社では男性も含めた育児休業の取得や、社内の連携を密にし、職場復帰をしやすい環境づくりに取り組んでいますが、確かに離職のリスクは否めません。ただそのリスクも念頭に置き、社員個人に頼らない経営を進めてきました。例えばノウハウをマニュアル化、仕事のプロセスを標準化し、仮に担当が変わっても関係者にご迷惑をかけない体制を整えることで、結果として組織全体の仕事力はUP。女性活用の想わぬ副産物につながっています。

代表取締役社長
重松宗孝
1959年生まれの54歳。新卒で入社後、2002年に代表取締役社長に就任。今治市倫理法人会会長、愛媛県倫理法人会会長を歴任。宅地建物取引主任者以外にも行政書士など多数の資格を有する。
課題
新卒採用を始めるが、採用環境の激化で思うような人材が採用できなかった
改善策
採用
・6~7年前から新卒採用を継続的に実施、特に理系女子(リケジョ)の採用を目指す。
・自社で正社員大工を採用。
・NPO法人が実施する実践型長期インターンシップを活用。
育成
・女性の営業を新築の現場監督に起用。
・国家試験の資格取得するために、予備校費や試験費を貸し付け(合格すれば返却をしなくても良い仕組み)。
・ノウハウやお客様情報を個人に頼らず社内で共有し、ノウハウのマニュアル化や仕事方法の標準化を進める。
・新卒生はベテランとタッグを組むよう配属。
・技術専門校での授業料や生活費の一部を負担し、大工を育成。
定着
・社員の権利を守り、義務を明確にするため、詳細まで就業規則を決め、全員が共有。
・24時間内に起こったグッドニュースを共有、挨拶練習やラジオ体操を行う朝礼と終礼を実施。
・社員と家族の誕生日を社内で共有、誕生日プレゼントとして商品券を贈呈。
・指紋認証機能付きのタイムカードを導入し、1分単位で残業代を支給。
・会社にあいさつライン(そこを通るときは必ずあいさつ)を設置するなど、社員が面白がって実践できる仕組みを工夫。
・社員の運動不足解消のため、スポーツクラブの無料券(月4回分)を全社員に配布。
成果
女性ならではの細やかな心遣いや営業スタイルがお客様の心を掴み、業績拡大
企業ストーリー

女性活用の背景には、ある女性との出会いと厳しい採用環境があった

住宅の新築やリフォーム、公共工事などを行う重松建設(株)は、リフォーム業界において全国的な知名度を誇る「ミスタービルド」にも加盟している。実はこのミスタービルドでは、約15年前から「リフォームアドバイザー」という職種を設置し、女性がお客様の要望を聞いたり、アドバイスを行ってきた。「でも、さすがに新築は無理だろうと思っていました」と重松社長。業界を見渡しても新築の女性技術者は皆無。それまでは男性の職場だった。
 一つの転機が訪れた。2005年、同社は大栄ハウスと合併。女性営業スタッフである檜垣氏と出会った。二級建築士を持っていたため、2年後からは現場監督も任せるように。当時は現場の反発もあり、紆余曲折もあったが、徐々に力を発揮するようになった。
 一方で「住宅を建築し、アフターフォローを通じてお客様の人生に寄り添う。それは新人を入れて育てることにも似ている。新卒採用ができないような会社では、お客様と良い関係を構築できない」そんな想いから重松社長は新卒採用に取り組み始める。ただ、当時はいざなみ景気の真っ只中。優秀な人材は金融業界や大手の建築メーカーに流れた。そこで本格的に女性の新卒採用に乗りだした。

決定権を持つ同性のお客様にアプローチ、女性の感性を活かした商品づくりも

継続的に新卒採用を続け、現在、5名の女性営業スタッフが活躍している。今では「同じ資質だったら間違いなく女性を採用します」と断言する重松社長。住宅購入の決定権を持っているのは多くのケースが女性。同性の営業スタッフが対応することでお客様との親密性が高まる。「女性の営業は結果をすぐに求めません。一方で、お金には厳しい。だから、お客様と長い期間をかけ関係性を構築し、値引きをせずに受注を獲得します。住宅を引き渡した後も、細かな心遣いでアフターフォローを続け、ご紹介や次の受注に結び付くケースが多いですね」と女性ならではの魅力を語る。
同社では営業スタッフが現場監督を兼ねる。「檜垣が現場監督になった時、最初は男性に変えて欲しいった声も寄せられました」というが、。実際の仕事ぶりを認められ、最近では親子ほど年も離れている現場の職人からかわいがられている。また、女性の感性と細やかな心遣いを活かし、収納力を高め、家事導線を考えた「女ゴコロのわかる家」を商品化して売り出している。

大工不足というリスクを、新卒採用でビジネスチャンスに変える

女性の採用とともに同社が力を入れているのが、大工の採用だ。建築メーカーでは大工をはじめとした職人は外注となるケースが多い。しかし、地域の大工は高齢化と人材不足が進み、同社の経営にも少なからず影響を与えつつある。一方で、先行きが見えない将来のなかで、「手に職を持ちたい」という学生も増えている。重松社長は「両者をマッチングできないか」と考え、業界でも珍しい大工の新卒採用を始めた。入社前に、学生は技術専門校に入学、同社は授業料や生活費の一部をサポートし、卒業した学生を迎え入れる仕組みだ。「将来は営業、現場監督、大工を一人の技術者が一貫してたずさわれるようにしたい。そうすれば、もっとお客様の要望を家づくりに反映できるはず」と展望を描く。

経済産業省「ダイバーシティ経営企業100選」に四国で唯一選出

同社では職場環境の充実にも力を入れている。就業規則は細かく設定し、皆が見える場所に設置。「活力朝礼」と呼ばれる毎日の朝礼は全員参加で30分かける。24時間以内に起きた「グッドニュース」を皆で共有、挨拶の練習やラジオ体操を行い、明るく元気な職場づくりにつなげている。ちなみに朝礼の間は留守番電話にし、お客様からの電話にも出ない。このような取り組みもあってか低い離職率が続く。
一方で女性社員に、結婚・出産後も長く働いていただこうと、子どもが3歳までは「託児料を会社負担」という制度を設けた。同社で住宅を新築したお客様にも「3歳までは託児料を同社負担」とする画期的なサービスを展開し、顧客満足の追及を図るとともに、地域の働く女性の育児を支援している。こうした先進的な女性活用の事例は、地域や業界の良いモデルとなり、2012年に四国で唯一、経済産業省の「ダイバーシティ経営企業100選」に選出された。

「先輩に女性がいたので、心強かったです。」と現場監督もこなす2年目の宇都宮

「社員就業規則」をいつでも社員が確認できる場所に設置している

打合せフロアにも女性ならではの意見が多く反映されている

会社はこう変わった

女性活用という先行投資が実を結び、ここ数年、売上倍増同社が女性の積極活用を始めて約10年。「最初は先行投資の要素が色濃かった」という重松社長。「まだまだ男性優位が残る社会のなかで、女性は自分の限界を決めているケースも多い。まずは、内なる敵を取り除くのに時間がかかりました」。お客様の理解、現場の理解も進み、今では女性技術者が同社の売りに。「女性が担当してくれるから重松建設を選びました」というお客様も多い。その成果は業績にも現れ、ここ数年、売上は倍増の勢いで拡大している。

今すぐできるはじめの一歩! 1.どんな業種でも「女性には難しい職種」という固定概念を持たず、人材活用の視野を広げて再検討しましょう
2.就業規則をきちんと作成し、社員全員で共有するなど、社員の権利を守る姿勢を表現しましょう。
3.朝礼、終礼等のコミュニケーションと意欲向上の場を毎日作り、明るい職場づくりと社内の活性化につなげましょう。

企業データ

企業名:重松建設株式会社
住 所:愛媛県今治市常盤町4丁目7-6
創 業:1954年
設 立:1965年  資本金:5544万円
従業員数:17名(2013年11月)
http://www.shigematsugroup.co.jp/
売上高:7.2億円(2013年9月)
【事業内容】
総合建設業全般(設計・施工・請負)、官公庁工事、リフォーム
【グループ会社】
愛媛不動産情報株式会社、重松興産株式会社

※本記事内容、データにつきましては、取材時(2014年1月)の情報です。

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