【第5回】 ~マッチングの新しいカタチに挑戦しています~

企業は採用においてどのような要素を重視するのか、若者の就職支援、特にマッチングを考えるうえでは重要なテーマです。2014年の愛媛大学・松山大学の共同研究によると、愛媛県内の企業140社に「新卒大学生内定の決め手となる要素」を調査したところ、「人柄」(86%)を選んだ企業がもっとも多く、「コミュニケーション力」(57%)「主体性」(28%)と続きます。

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ここで考えるのが、これらの要素を選考場面で確認することの難しさです。一般的な個人面接形式で、その人物の「人柄」や「コミュニケーション力」の全体像を把握することは、容易ではありません。
そこで、近年ではグループディスカッションやグループワークといった集団の中での人とのかかわりを見る選考方法を取り入れる企業が増加し、かなり一般的な方法になってきたと感じます。ただし、この方法では選考に来た方同士のかかわりを見ることが中心となります。これだけでは自社に適した「人柄」かどうかを見極めることはできないと考えた企業から、実際に社員とのかかわりを持つ選考を行っていると耳にするようになりました。具体的には、採用担当や社員との登山、ゲーム、社長や役員も同席する1泊2日の交流会、懇親会といった具合です。

一方、選考される若者を支援していても、「人柄」が伝わる機会があれば早期に活躍できる企業と出会えるだろう、と思う方に出会うことも少なくありません。たとえばA君。大学在学中に知り合った経営者に誘われ就職。その後、企業側の事情で退職することになり、相談に来られました。無遅刻、無欠勤は当たり前。真面目で素直。自分なりの考えで工夫もしながら仕事に取り組み、必ず期限までにこなしてきた。自分ではどれも当たり前に行っていることなので、面接で話すような内容とも思えない。幼いころから、周りの大人、先輩から人柄の良さを認められ、かわいがられてきたためか、自分の良さを言葉で表現することに慣れていない。面接では極度に緊張し、本来の自分のよさを簡潔に伝えられない。そんな彼も、時間をかけて自分の良さを理解し、仕事への取り組みや姿勢を伝えられるようになることで、通常の面接を通過するようになっていきます。しかし、それまでの期間がとても長く、なんとか早く彼のよさが企業に伝わる方法はないのかともどかしく感じることも多くあります。

このような状況から、私たち就職支援施設でも、従来からある面接形式よりも「人柄」に触れることができるような、選考の場を提供することの必要性を感じ、様々な試みをしています。
ひとつは、「新しいカタチの小規模合同面接会」という、愛workでのセミナー受講後の若者との出会いの場です。面接会の参加者となる若者は、事前に「就活道場」という2週間のセミナーで、経営者と接することや企業への飛び込み訪問等の仕事の疑似体験を通して、仕事や企業の考え方の理解を深めます。そのうえで、仕事に対しての自分の能力や強み、特徴をとらえなおし、自分の人物像が企業に伝わるようなアピールの準備を行います。面接会では、面接前に受講者がこの自己アピールをプレゼンすることによって、通常の面接では質問されなければ伝えることの出来なかった自分の仕事における強みや内面的なよさを、ポイントを絞って伝えることを行っています。また、セミナーでの飛び込み訪問等をやりきることで、働く自信や意欲も高まっているため、その後の交流会でも企業の方と活き活きとかかわることができていると思われます。
上記のA君は、これまでの面接では不採用が続いていましたが、この面接会で5社の企業から、企業訪問をするよう声が掛かりました。プレゼンテーションや交流会を通して、通常の面接だけでは伝わらなかったA君の魅力が企業の方に伝わった結果だと思います。

もうひとつの試みは、今年度から実施する「共同体験型面接会」です。企業の方と学生がグループワークやバーベキューで交流をする中で、相互理解を図り、人柄を知り合うことから、採用につながることを狙っています。「ひと対ひと」をキーワードに今年度は9月9日と10月31日に実施します。初めての実施のため、狙い通りによい出会いとなるかどうかはまだわかりませんが、また、こちらで報告できればと思っています。

今後もお互いにとってよいマッチングのために、新しい形の企業と若者の出会いの場作りを模索し、挑戦していきます。どうぞ皆様も、この新しいカタチのマッチングにご参加ください。

~若者を育てる 大人が変わる~
ジョブカフェ愛work(愛媛県若年者就職支援センター)
若者グループ・キャリアコンサルタント 中村真由美

2015年08月27日更新 | カテゴリー:企業のみなさま, 愛媛の経済サイト E4, 教育機関・保護者のみなさま